その2:自閉症・ADHDなど発達障害の原因と有機リン系、ネオニコチノイド系など農薬の危険性 | 化学物質過敏症 runのブログ

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3、発達障害の原因としての環境化学物質
 1950年頃より広まった環境化学物質による人体汚染、ことに胎児、新生児の複合汚染を疑う研究者が増え、証拠となる研究報告も集まってきている。

農薬など環境化学物質ばく露増加と脳神経系障害については、これまでにも明らかとなっている事例が多い。

1950年代に有機水銀による妊婦の汚染により胎児性水俣病が起こり、脳神経系の発達に重篤な障害が生じた。

1962年にはレイチェル・カーソンが“沈黙の春”を発表し、有機塩素系農薬が環境汚染を引き起こし、人体影響にも及ぶことを警告した。

その後の疫学研究では、PCB、有機塩素系農薬が子どもの脳の発達に悪影響を及ぼす報告が多く報告された。

米国では1970年頃から、日本では1990年頃から自閉症、ADHDなど発達障害児が増加し、原因として環境化学物質が疑われてきた。

2010年になって、有機リン系農薬代謝物が尿中に低用量でも検出される子どもは、ADHDになるリスクが2倍高くなるという疫学報告が出て、ニューズウイークや朝日新聞にも掲載され注目が集まった。

その後2010~11年、母親の尿中の有機リン系農薬代謝物レベルが、生まれてくる子の発達障害や知能低下と相関関係があるという疫学論文が多数出され、農薬ばく露の危険性が認識されてきた。
 2012年には米国小児科学会が公式声明を出し、米国政府や社会に「農薬による発達障害や脳腫瘍など子どもの健康被害」を警告した。

声明と付属のテクニカルノートには、農薬ばく露が子どもの健康影響に悪影響を及ぼすことを明らかにした228もの論文が引用され、その上でことに小児への農薬ばく露を最小限に抑えるべきだと提言している。

4、脳の発達のしくみとそれをかく乱する環境化学物質
 人間の脳では1000億の神経細胞が100兆個のシナプスで結合し、無数の神経回路を形成している。

この神経回路が認知、記憶、対人関係など全ての行動を担っている。
脳内に張りめぐらされた神経回路は、コンピュータなどよりはるかに複雑精微である。

脳は膨大な数の生理的化学物質で働いている“化学機械”でもあり、そのため外界から侵入する環境化学物質には脆弱である。

脳の機能発達は、遺伝子の設計図(先天的)と生後の外界からの刺激、経験(後天的)による神経回路の発達によって起こり、この発達を支える遺伝子発現(遺伝子の働きで蛋白質が実際にできる過程)も化学物質で調節されており、環境化学物質の侵入に脳は大変弱い。

脳を作る遺伝子のDNA配列(設計図)が正常であっても遺伝子の働き(遺伝子発現)がかく乱されると、必要な蛋白質ができなかったり、量が過大、過少になったりして、正常な発達が妨げられてしまう。

脳を作る遺伝子は膨大な数で、それらの遺伝子発現がかく乱されると何らかの発達障害を起こすと考えられる。
 当初、自閉症は遺伝要因が強いと考えられたため、多くの研究者が原因遺伝子を探求してきたが、いわゆる原因遺伝子は全くみつかっていない。

しかし発症しやすさに関係する遺伝子は、現段階で500以上と非常に多くみつかっており、今後さらに増えることが予測される。

これら関連遺伝子の総和、即ち発症しやすさに関わる遺伝子背景に一人ひとりの微妙な違いがある上に、環境化学物質のばく露を含む多様な環境要因により発達障害の症状の多様性や、正常とされる一般の子どもの個性の違いが表れてくると考えられる。
 上述したように脳発達における遺伝子発現をかく乱、阻害する化学物質として、これまで判明している水銀や鉛、PCBなどの環境化学物質に加え、種々の農薬も脳神経系を直接標的にしているため、危険なものが多い。
さらに突然変異を起こす遺伝毒性をもった環境化学物質や放射線によって、正常な遺伝子が変異し、脳内に異常な神経細胞がモザイク状にひろがり、自閉症など発達障害が起こる可能性も指摘され始めた。