PM2.5の総復習:2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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さて、今年の1月から2月にかけてPM2.5高濃度が話題となったとき、国立環境研究所では即応的にデータ解析を行い、2月21日に「日本国内での最近のPM2.5高濃度現象について」と題して記者発表を行いました。

その内容は研究所のホームページ(http://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130221/20130221.html )で確認できます。

その解析では、「そらまめ君」のPM2.5データを用いて、2013年1月1日から2月5日までの36日間における日本全国のPM2.5濃度の概況を調べました。

解析に使った測定局数は24道府県の169地点で、そらまめ君のネットワークシステム(テレメータと呼ばれます)に当時繋がっていた測定局のデータのみを対象としました。

 まず、各測定局での日平均PM2.5濃度を調べたところ、西日本を中心に環境基準値(1日平均値35μg/m3)を大きく超える高濃度が度々みられました。

全測定局での日平均値の期間中最大値は九州において1月31日に観測された69.8μg/m3でした。36日間のうち16日間で、全国のどこかで環境基準値(1日平均値35μg/m3)を超過した測定局がありました。

1月31日には、全局数の31.0%で環境基準値を超過していました。

各測定局における環境基準値超過の日数の分布を見ると、九州、中四国、近畿を中心に西日本に多く分布していました。

2011年と2012年のデータも用いて、計3年分の1月中の有効な測定局数と日数の積算値の何%が環境基準値を超過したかを西日本対象に比較したところ、2013年の超過率4.0%は2012年(3.5%)と大差無いことがわかりました(2011年は1.0%でした)。

その後も、他の解析方法も用いて解析しましたが、今年のこれまでのPM2.5濃度は、ここ約3年間の中で特に高くはないことがわかっています。

 1月のPM2.5高濃度問題を受けて、環境省は「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」を設置し、その結果、PM2.5濃度の日平均値70μg/m3が暫定的な指針値とされ、超過すると予想されるときに注意喚起(いわゆる注意報と思って良いでしょう)を行うとされました。

それ以降、PM2.5濃度の日平均値が70μg/m3を超えるかについても関心が持たれるようになりましたが、その観点でデータを解析しても今年は例年並みという結果が現時点で得られています。

 以上のようにPM2.5濃度の観測データから、少なくともここ数年間で見て、今年の日本におけるPM2.5濃度は特別高くはないということがわかります。日本でPM2.5が高濃度になる要因の一つには越境輸送の影響があると考えられますが、例えば中国から日本に輸送されてくる間に拡散等によって濃度は10分の1もしくはそれ以下になると考えられます。

現在の中国の大気汚染の状況は、PM2.5濃度から見て、1970年代頃の日本の状況に比較的近いと考えられ、今後中国国内の対策も徐々に進められるだろうことを考え併せると、引き続き注意は必要でしょうが、特に恐れる心配はないだろうと個人的には考えています。


(すがた せいじ、地域環境研究センター都市大気環境研究室 主任研究員)