PM2.5の総復習 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出展;国立環境研究所
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・PM2.5の総復習


特集 大気汚染の現状と健康影響評価
【環境問題基礎知識】
菅田 誠治
 「PM2.5」という言葉を今年の1月に生まれて初めて耳にした方も少なくはないでしょう。

まず、1月中旬に北京でのPM2.5高濃度が話題となり、続いて日本で高濃度が観測されたと大きなニュースになりました。

ここではそのPM2.5について基本をおさらいしたいと思います。

 PM2.5のPMは「粒子状物質」の英語である“Particulate Matter”の頭文字です。

下付き数字の2.5は粒子の直径が2.5μm(マイクロメートル、1mmの1000分の1、以前はミクロンとも呼びました)以下であることを表しています。

細かく言えば、PM2.5を測定する際の粒子の選別手法の関係で2.5μmより5μm程度までの粒子もわずかながら含まれているのですが、一般的には「大気中に浮かぶ粒径が2.5μmより小さい粒子」と理解しておけば十分です。

2.5は下付きで書くのが本来なのですが、PM2.5という書き方も一般には通用しています。

 PM2.5は粒子なので、気体ではなく固体もしくは液体です。

PM2.5等の粒子状物質をエアロゾルと呼ぶこともありますが、本来は気体である大気の中に気体でない粒子状物質がコロイド状に共存している状態を表していますので、厳密には粒子状物質自体を呼ぶ言葉ではありません。

 大きさはなぜ2.5μmなのでしょうか。

厳密に決められる値ではないのですが、粒子が気管支より深く肺の奥まで到達できて人体に影響を与える恐れがある大きさを基に決められています。

人体影響についての詳細は、今号の他の記事を参考にして頂くのが良いと思います。

 日本では2009年にPM2.5の環境基準が定められました。

基準は二つの条件から成り、PM2.5の年平均値が15μg/m3以下であることと、一日平均値が35μg/m3以下であることの両者を満たすことです。

この基準値は、EUよりは厳しく、米国と一緒で、WHOよりは緩い値で、世界的な基準の中庸に位置しています。

 各種の大気汚染物質の濃度は、全国にある大気環境常時監視測定局において観測が行われ、その観測値の多く(一部、ネットワークに繋がっていない測定局や項目があるため)は「そらまめ君」のホームページによりリアルタイムで確認できます。

PM2.5については、日本全国で600以上(平成24年度末)の測定局があります。

1970年代から測定が続けられている光化学オキシダントの測定局数は1200局弱であり、PM2.5についてもその程度の局数をめざし局数を増やす努力が続けられています。

 一括りにPM2.5と呼ばれますが、実際には様々な物質の集合体で、条件により含まれる成分は様々です。

例えば、元素状炭素(EC)、有機炭素、硫酸塩、硝酸塩等の様々な物質が成分として含まれる(図)ほかに、黄砂等の土壌粒子や海塩粒子等も含まれます。

様々な物質ですから、発生源や発生方法も様々です。

最初から粒子状物質として大気中に放出される一次粒子と、原因物質となるガス状物質が大気中で反応(光化学反応・中和反応等)して生成される二次粒子があります。

発生源は自然起源と人為的起源に分けられます。

同時に、成分によって人体への影響も全く異なると考えられますし、取るべき対策も異なるはずです。

様々な粒子状物質を大きさだけで一括りにして環境基準を決め常時測定等を行う一方で、発生源や影響や対策については成分毎にそれぞれ考える必要があるのが、他の大気汚染物質と大きく異なる特徴であり、また、扱いが難しいところだと思われます。


図 PM2.5と関連物質の関係