難燃剤化学物質は禁止されるべきか-2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・その研究が告げていないことは何か?

 カリフォルニア州には、内装品緩衝材での難燃剤の使用を義務付ける厳格な基準があり、同州はアメリカの市場で占める割合が大きいので、これらの化学物質を含んだ製品が自動的に製造されることが多い。

 ”明らかにこれら全ての製品はカリフォルニアの法律に対応していなくてはならない。この法律で注目すべきことは”難燃剤を使用すること”ということである。彼らが難燃剤をこれらの製品中に見つけたということは驚くべきことではない”と、シアトルのワシントン大学の神経毒性学研究者ルシオ・コスタは述べている。

 ”問題は、古いPBDEsの代わりに用いられているこれらの新たな難燃剤が実際に環境中に漏れるかどうか、そして曝露があるかどうか、これらの化学物質が有毒な特性を持つかどうかである”と彼は述べている。

 この最新の研究はそのことに目を向けていない。

そしてその研究は、赤ちゃんや両親がクッションの内部の緩衝材中のこれらの化学物質に実際どれだけ曝露するのか、そして化学物質が外に漏れているかどうかを測定する研究ではない。

 しかしながら、このことは人々が PBDEs やその他の難燃剤に曝露しないということではない。

これらの化学物質は非常に残留性が高く、したがって、それらが漏れると環境中に広く分布するようになる。この最新の論文と同じ著者による他の論文を含む研究が、家の中のはホコリ[2]、母乳[3]、そして北極クマ[4]からでさえ、この化学物質を検出している。

それでは、我々はこれらの化学物質が有害であるということを実際に知っているか?

 PBDEsは、多くの国で1970年代の後半又は1980年代の前半に禁止されたポリ塩化ビフェニル(PCBs)と化学的に類似している。

あるPCB類の有毒性はよく報告されているが、PBDEsについては確実性をもって言うことができることはもっと少ない。

 コロンビア州にあるサウスカロライナ大学医学部のホリー・ラビエは、 我々はこの点についてPBDEsが人の健康に有害であると確実性をもって言える十分な証拠を持っていないと述べている。

 ”この研究のほとんどは非常に高い用量での動物実験に基づいている”と彼女はいう。”動物研究から何らかの問題があることが推察できる”。
 高用量のこの化学物質は実験ラットに神経系障害を引き起こすことが示されている。

それらはまた、甲状腺ホルモンと同様な作用を示すが、それらは類似の化学的構造をもち、問題を引き起こす。

ラビエのチームは最近、低用量でもラットの甲状腺機能を損なうことができることを示す最初の研究を報告した。

 他の側面からのこの問題へのアプローチは疫学的研究である。これらは、集団調査の統計的分析手法を用いて人の化学的曝露と健康問題との関連性を解明しようとするものである。

 難燃剤に関するいくつかの疫学的研究が進行中であるとタスカーは言うが、結論を得るまでには時間がかかる。

研究はしばしば、資金や潜在的な問題の認知の遅れなどの問題のために遅れる。

 主要な疫学研究はGESTEであり、それはPBDE曝露、甲状腺かく乱、子どもの発達に目を向けるものである。

 タスカーは、6月の会議で GESTE からの最初の結果を発表するであろう。”GESTE は、PBDE と関連化学物質による甲状腺かく乱の疑問、及び子どもの精神運動性の発達及び行動への長期的な影響に、特に目を向けるよう設計されていると彼女は説明する。”我々は、動物研究で見つけたように、甲状腺かく乱を明確に確認している”とタスカーはいう。

 ”実際、我々はそれらが動物における甲状腺かく乱物質であることを知っている。また、それらは恐らく、動物及び子どもの行動障害(例えば多動症)に関係している”と彼女はまとめた。

我々は、PDBEs以外の難燃剤化合物について何を知っているか?

 TDCPPは有害かもしれないことを示唆するいくつかの研究がある。TDCPP及び関連する化合物は、子どものパジャマから検出された1970年代に実施されたいくつかの調査の対象であった。

 ”TDCPPは禁止はされなかったが、それは取り除かれた”とウェブスターは説明する。

その研究はTDCPPに 変異原性があることを示唆していた。

それは発がん性があるらしく見える。

神経毒素であることを示唆するデータがある。

 しかし、TDCPPの最新の研究は、PBDEsの研究よりはるかに少なく、Firemaster550についての研究はほとんどない。
 ウェブスターはまた、この新たな研究で”奇妙な”化合物、 V6 と未知の化学物質、を見つけて驚いた。

我々は PBDEs と TDCPPについて非常に多く知っているわけではないが、これらの新たな化合物についてはもっと知らない。

 ウェブスターはそれを、頭を切られるといつでも新たな二つの頭が生えてくる神話の化け物にならって、”hydra problem(一筋縄ではいかない問題)”と呼んだ。

 コスタが言うように、”これは、我々がある化合物が有毒であることを見つけてそれを禁止する時に、我々が常に持つ問題である。

多くの場合、我々は、新しい物については古い物についてほどよく知っていない”。

 多くの研究者は、アメリカが化学物質について行なっているやり方は、ヨーロッパである程度用いられているアプローチである市場に出す前にそのような製品はもっと多くのテストを実施するということを確実にするための大刷新が必要であると信じている。