・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・Nature News 2011年5月20日
白熱した問題
難燃剤化学物質は禁止されるべきか
情報源:Nature News, 20 May, 2011
A burning issue
Should flame-retardant chemicals be banned?
By Daniel Cressey, London
http://www.nature.com/news/2011/200511/full/news.2011.311.html
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2011年5月25日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_11/110520_Nature_burning_issue.html
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アメリカの赤ちゃん用製品中の難燃剤についてのある研究を報じた今週の数百のニュース記事のひとつでも読んだ母親たちは、パニックになってもおかしくない。
”研究:赤ちゃん製品の80%は有害” Fox Newsの見出し(訳注1)。
今週、 Environmental Science and Technologyで発表されて[1] (訳注2)、メディアの嵐を引き起こしたこの研究は、毒性学研究、消費者製品、及び化学物質規制に関わる主要な問題に光を当てている。
しかし、それは一般的なメディア報道を見て予期されるようなものではない。
その研究は実際には何を我々に告げているのか?
ノースカロライナ州ダラムにあるデューク大学のヒーサー・ステイプルトンと同僚らは、難燃化学物質が赤ちゃんや子ども用品中の緩衝物(foams)でどのように広く使用されているか、そしてどのような化学物質が存在するのかを見つけるための準備をした。
彼らは分析のために、一般の人々に子ども用カーシート、赤ちゃん用マット、ベッド柵マットの切れ端などを送付してくれるよう要請し、また自分たち自身でも新しい製品を購入した。
彼らは緩衝物の80%に様々な難燃化学物質を見つけ出した。
最も共通していたものは、TDCPP(トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)リン酸塩(訳注3)であり、アメリカで広く使用されている難燃剤で Firemaster550 という商品名で知られている。
ステイプルトンと彼女の研究チームは、101サンプルのうち5サンプル中からポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)(訳注4)を検出し、2004年に使用が中止されたペンタBDEと呼ばれるPBDEの一種がまだ製品中に存在していることを示唆した。
”この論文は私の周囲の全ての研究者が知っていることを確認している”とカナダのシャーブルーク大学で環境汚染を研究しており、この研究には関与していないラリッサ・タクサーは述べている。
”我々の曝露は、例えばPBDEのような古いものと、最近開発された新しい化学物質からなっており、この新しい化学物質は今後注意深い評価が行なわれる前の長い年月、使用されることになるであろう”。
PBDE類を含む製品は2004年以前からあるので、これらの化学物質の検出は驚くべきことではなく、論文の著者トーマス・ウェブスターは検出される難燃剤の大部分はTDCPP と Firemaster であろうと予期したと述べている。
発見された他の二つの難燃剤は、ひとつが”V6”(訳注5)として売られているもの、もうひとつは研究者らには分からなかった。
マサチューセッツ州にあるボストン大学公衆衛生学部の環境疫学者ウェブスターは、この研究の主要な狙いのひとつは、赤ちゃん用品は購入後長期間使用されるので、実際に何が使われているのかを知ることであると述べている。
この種のものについては、実際にはカリフォルニア州に難燃剤の基準があるだけである”とウェブスターはアメリカについて述べている。
”我々はマサチューセッツについては分からない。何が使われているのか知ることは非常に難しい”。