・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
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事故米後も繰り返されるクズ米混米
――JAS表示見直し 後ろ向きに転じた消費者庁
米の検査規格の見直しを求める会
大潟村農業委員 今野 茂樹
「米の検査規格の見直しを求める会」は、ネオニコチノイドなどの過剰な農薬使用を助長する農産物検査法の廃止を求めている会です。最近では、活動の重心を同検査法からJAS法に移しています。理由は大きく三つあり、①2008年の事故米事件で非食用米の不正転売や混米が明らかになったが、その後も安いクズ米や古米の転売や混米が消費者に知らせることなく、事件前と変わらずに繰り返されていること、②格上げ混米の隠れ蓑になっているのがJAS「複数原料米」表示であり、③JAS表示の見直しが、結果として農産物検査法の無効化につながると考えているためです。
増え続ける「格上げ混米」
転売や混米が繰り返されるクズ米とは何か。
農家が玄米を1等米基準に調製する際、米粒の大きさを一定にするためにふるいにかけます。
そして、ふるい目から下に落ちた未熟粒や障害粒などをクズ米といい(ふるい下米=低品位米)、品質は農産物規格『規格外』に相当します。
多くは無記名・無記載のまま流通し、仮に生産者名やJAの記載があってもそれは任意に書かれたもので、記載を求める法律は存在しません。
一般玄米の1/4~2/3の値段で取り引きされ、年間60万t前後流通しています。
このような低品位米を旧食糧管理法は「特定米穀」と呼んで、通常の「米穀」とは区別していました。
農水省の推計によれば米菓や味噌、酒造用等の原料として20万~30万t、また専門業者によって「中米」と呼ばれる米粒が抜き出され、主食用増量材として30万~40 万tが使用されています。
近年のデフレ経済の中で低価格米の需要が増えたことに伴い、主食用の割合が増えています。
問題なのは、素性不明の規格外米でありながら、増量材として使用しても「複数原料米・国内産10割」と正規のJAS表示ができ、品質が保証されているかのように見えてしまうこと。
また素性不明であるため、事故米事件のような事態が再び起きた場合、流通経路を遡り原因を特定することが不可能であること。
このように重大な問題を抱えていながら何も問題がないかのように、毎年数十万tも消費されることこそ異常で実に不可解なのです。
当然、こうした状況を疑問視する意見は過去、何度も上がっています。
しかし改善が進むどころか、むしろ規制緩和と称する政策が繰り返され、不透明な格上げ混米は増えているのが実情です。