無意識の考えを認識する
習慣になっているあなたの考え方を変える最初のステップは、その考え方を認識することです。
これを行うのは容易なことではありません。
なぜなら考えは無意識で、非常に根深いので自明だと思われるからです。けれども、あなたがそうした考えを認識することができるならば、あなたはその考えから少し距離を置いて、その自明な特徴を取り除きます。
私が無意識の考えを認識して、そしてその考えを徐々に変えることに対して概説する技術は、Dennis GreenbergerとChristine Padeskyの共著Mind Over Mood (『鬱と不安の認知療法練習帳』)で記述されるThought Record(考えの記録)です。
この書式を使うことは、無意識の考えと、その考えがあなたの気分と行動へ及ぼす影響に気づく一つの方法を提供します。
Martin Seligman著のLearned Optimism (『オプティミストはなぜ成功するか』)、David Burns著のFeeling Good (『いやな気分よ、さようなら』)などのような他の本で似ている技術を見付けるか、あるいは認知療法を専門に扱う心理学者から技術を習得することができます。
この技術がどのように機能するか見るために、ある日散歩して、そして家に着いて非常に疲れた女性患者を想像してください。憂鬱になり、そして絶望して、彼女はその時点で自分の頭に浮かんだ考えは何か自問しました。考えは「私は決して今より良くならないでしょう。
私は何かを試すたびに失敗します」でした。「考えの記録」(下表、参照)の最初の三つの列に、彼女は自分の経験を記録しました。
列1に、彼女は出来事の説明を書きました。2番目の列に、彼女は出来事のあったときの自分の感情を記録しました。
そして3番目の列に、感情が最も強かったときに、彼女の頭に浮かんだ考えを書きました。
考えの記録 #1
1出来事
2感情
3最初の考え
30分散歩する。そのあと非常に疲れた。
憂鬱。 絶望的
私は決して今より良くならないでしょう。
私は何かを試すたびに失敗します。
この練習の目的は、あなたが自分の考えから少し距離を置くのを助けること、当然のことと思うあるいは自明な考えの特徴を取り除くことにあります。これらの考えが無意識であるために認識するのが難しい場合があり、このスキルを向上させるのにある程度の時間を要することがあります。
あなたの無意識の考えをとらえるために、動揺させる出来事が起きたときはできるだけ早く、「考えの記録」に書き込んでください。
無意識の考えを評価する
記録することによって無意識の考えを突き止めたら、歪曲(わいきょく)された考えと不合理な考えから真実の考えを分離するために、無意識の考えを評価してください。
どの程度まで無意識の考えが妥当であるかを決定するために、あなたの考えを支持ならびに反対する根拠は何かを自問してください。
「考えの記録」の列4を最初の考えに賛成する根拠のために使い、列5を反対する根拠のために使ってください。
このアイデアは、無意識の考えが本当であるということを一時忘れることで、代わりに、賛成と反対の両方の根拠を探すためです。
あなたが見付ける根拠を書き留めることは、あなたの考えから一定の距離を置くのを助けて、そしてその考えを自明でないようにします。
一歩引いて見ることによって、あなたはより容易に、どのように無意識の考えが事実を無視するか、あるいは状況の最悪の局面だけを選ぶかに気づくことができます。
考えの記録 #2
1 出来事
2感情
3最初の考え
4賛成
5反対
30分散歩する。
そのあと非常に疲れた。
憂鬱。絶望的
私は決して今より良くならないでしょう。私は何かを試すたびに失敗します。
私は頻繁に再発します。
運動がしばしば私を悪化させます。
全体的に私は1年前より良いです。
多くの人々が改善します。
強い感情のときの考えには反対できないように思われるかもしれません。それで、あなたの考えを支持しない根拠を見付けるために自問することができる幾つかの質問を用意しておくことが助けになるかもしれません。
その中でも特に以下は役立ちます:
?私は考えがいつも完全に本当とは限らない状況について知っていますか?
?ほかの誰かがこの考えを持っていたならば、私はその人に何を話すでしょうか?
? 私が過去にこのように思ったとき、私の気分が良くなるのを助けたのは何だったと思いますか?
?5年後、私はこの状況を違った観点から見そうですか?
?私は自分でコントロールできない何かのために私を責めていますか?