PM2.5による大気汚染についてー5 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

6、PM2.5の対策と今後の課題
 PM2.5濃度削減対策を進めるためにはPM2.5の生成機構を把握する必要がある。

今年の1月から3月にかけての中国におけるPM2.5の生成機構解明が大きな課題となっているので、成分分析とモデル解析の結果が待たれる。

どのような成分が生成されていたかが分かれば対策の検討に繋がることになるので、今後の研究の進展が待たれる所である。
 PM2.5の環境動態には気象、発生源、化学反応が複雑に絡み合っており、その関係は非線形的(原因物質の削減と環境中のPM2.5の濃度の変化は単純に比例しない)なので、発生源の環境濃度との関連性の把握には気象、発生源、化学反応を含むマルチスケールの数値計算モデルの活用が不可欠となる。

このモデルは日々発展途上にあり、気象、発生源、化学反応、それぞれのサブモデルの精度の向上が図られつつあるが、PM2.5成分によってはモデルの過大評価や過少評価が課題となっている。

このモデルの検証やそれぞれの地域での環境動態の把握にはモニタリングや成分分析の情報が不可欠であるため、分析・モニタリング・モデリングの相互連携が今後、益々重要となる。日本におけるPM2.5のモニタリングや成分測定は最近始まったばかりであり、今後の更なるデータの蓄積と解析が待たれる。
 PM2.5の問題は人への健康影響面のみならず、生活の質QOL(Quality of Life)にも直接的に関係する問題である。

視程の悪化に伴う景観の阻害や高濃度時の外出の規制、空気清浄器の導入による環境対策コストの増大などなど、その影響は少なくない。

我が国のPM2.5の環境基準は人への健康への影響だけが考慮されているが、アメリカの環境基準では視程の悪化等による生活の質の側面も考慮されている。

また、未だ十分には解明されていないがオゾン問題ともリンクした植物生態系への影響や農作物の生長阻害への影響、ひいては食糧生産への影響も懸念される。

対策を進めるに当たってのコストとリスクの議論も今後必要と考える。
 PM2.5問題は地域の大気環境面ばかりではなく、気候変動問題にも密接に関連する。炭素成分は地球温暖化をもたらす短寿命大気汚染物質として近年、大きな関心が持たれている。
 PM2.5は地域と地球の双方の大気環境改善のためのコベネ対策の要となる物質でもある。

今後、その動態に関しての注意深い観察と対策のために国際的な協力を個人や企業、民間団体レベル、学会や大学レベル、自治体および国レベルで相互に協力し合いながら推進して行く必要があると考える。
             (2013年6月8日記)