一つの活動ごとに制限を設ける
活動の制限を見付けるもう一つのテクニックは、一つの活動ごとに制限を設けることです。
あなたは、食事を支度する時間が長すぎると疲れる、あるいは、例えば、お使いや家事をしたあと、人と話をしたあとに疲れることを知っているかもしれません。
しかし、いつ「やり過ぎ」になるかは知らないかもしれません。
この問題に答える方法は、費やした時間と、症状の簡単な記録をつけて、一つの活動に焦点を合わせることです。
例えば、あなたは、食事を支度する間に10分間はキッチンに立っていられると考えるかもしれません。
この考えをテストするには、食べ物を用意している間、開始時刻、終了時刻、そして調理中と調理後の具合はどうかを書き留めます。
具合が悪くなったのならば、10分は多過ぎです。
大丈夫ならば、時間を増やすことができるかもしれません。
具合が悪くなったのならば、それはなぜか、を知ることが重要です。脱力感を覚えるか、頭のふらつきを感じるならば、立っていられる制限を超えてしまったのかもしれません。
この場合、あなたはさまざまな状況に当てはまる重要なことを学んだことになります。
痛みがあるならば、反復動作の制限を超えてしまったか、あるいは不適切に道具を持っていたのかもしれません。
記録して制限を見付ける
全体的な活動の制限を見付けて、それを確定するのに良い戦略は、健康日記あるいは健康ログ(記録)をつけることです。
記録を管理すれば、自分が一日一日何をしていたかを記録し、その結果を見ることができます。
ログは、活動レベルと症状との間の関連性を認識するのに役立ちます。
書いて記録しておけば、いろいろと役立ちます。
簡単な日記でも、安全に行える活動時間と活動の種類とが分かります。
また、活動の影響が遅れているかどうか、そして数日、あるいは1週間にまたがって累積的影響があるかどうか判断するのに役立てることができます。
例えば、記録を管理することで、私は運動の影響がしばしば遅れて現れると知りました。
私がいつもより長く歩くと、運動の最中に症状は全く悪くなりませんが、その日の遅く、あるいは次の日に症状レベルが通常より高くなりました。
労作の影響が遅れた記録を見ることで、私は制限を超えたときに自分の体がシグナルを送るのを当てにできないということを学びました。
また、このことは、私がどれくらい安全に運動できるかを決めるために、ログを使う動機を与えてくれました。
そして、運動の制限に達すると、私は運動をストップして症状を予防することができました。
記録があれば、いろいろな活動でさまざまな影響を確定することができます。
例えば、CFSやFMの人々の中には、運動するのに苦労する者もいれば、少しの間コンピュータを使っただけで吐き気を催す者、また、短距離車を運転するのならば大丈夫だけれども、それ以上の距離だと具合が悪くなる者もいます。
あなたの制限は、ある領域が他の領域よりいっそう制限されているかもしれません。
また、あなたの制限のパターンは、他のCFSやFMの人々のパターンとは異なるでしょう。
内省すれば、身体活動と同様に、心的・感情的な出来事の影響にも気づくことができます。
CFSと線維筋痛症の多くの人々は、例えば、小切手帳の帳尻を合わせる、読書する、あるいはコンピュータで作業する、というような集中力を必要とする活動をすると、すぐに疲れると気づきます。
心配、怒り、他の人たちとのもめごと、憂鬱などの感情的な出来事は特に疲れます。
また、記録を管理すれば、はっきりとは分からない関連を知ることもできます。
例えば、CFSとFMの一部の人々は、活動レベルと睡眠との間の意外な関係に気づきます。
日中活動しすぎると、夜、目がさえた(「興奮している」)状態になって眠りに落ちることができないと分かります。
これは、病気になる前とは逆の状態です。
本来は、たくさん活動すれば、疲れて熟睡できるはずです。
このように、直観では分からないことは、詳細な記録を使ってしばしば明らかになります。
さらに理解を深める
たいていは、自分の制限について考え、それを「エネルギーエンベロープ」と呼ぶことが役立つ一方、実際は、生活の各部分に多くの「エンベロープ(疾患が一人ひとりに課した制限)」があります。
生活の各部分、すなわち生活のそれぞれの領域で制限を決めることによって、疾患をさらにコントロールできます。
これを理解すれば、症状を最小限に抑えるため、改善の可能性を高めるため、自分が何をしなければならないか詳細な知識が得られます。
また、大きな弱点のある領域を強調することもでき、あなたが優先順位を変えるのに役立ちます。
例えば、あなたは、質の良い睡眠を取ることは症状をコントロールする上で非常に重要である、あるいはストレスを最小限にすれば気分に劇的な効果がある、ということが分かるかもしれません。
あなたの制限は、同じ疾患を持つ他の人々の制限とは異なるでしょう。
また、あなたの制限はおそらく、きつい領域もあれば、それほどきつくない領域もあるでしょう。
例えば、私が全体的に正常の約75%まで回復したとき、私の運動能力は病気になる前の約35%でした。
また、あなたのクッションあるいは許容範囲も領域によって異なるかもしれません。
一部の人々は、領域によっては、小さなミスでさえ重度で極端な症状の憎悪を引き起こすと分かります。
例えば、いつもより1時間長く起きていれば、次の日特に疲れています。
あなたの一連の制限を理解する一つの方法は、「エネルギーエンベロープ(Energy Envelope)」用紙に書き込むことです。
この章の残りの質問に答えます。
この章の終わりに実例と未記入の用紙を載せました。
「エネルギーエンベロープ」用紙の印刷可能なコピーと他のすべての用紙とワークシートは Logs, Forms & Worksheets にあります。