・出典:慢性疲労症候群(CFS)入門
http://spinozafj.web.fc2.com/mangcfs.html
第6章 疲労と闘う
疲労はCFSの中枢症状であり、線維筋痛症のほとんどの人々にとっても深刻な問題です。
この「疲労」(“fatigue”)という言葉は、この二つの疾患の人々が感じる肉体的・精神的な疲憊(ひはい)(極度の疲労)を表すための用語で、誤解を招きかねない言い方であるかもしれません。
だるさ、眠け、そして運動耐性の低下があるならば、疲労は、低い活動レベルで、あるいははっきりした理由もなく現れることがあります。
疲労はしばしば、健康な人よりはるかに激しく、はるかに長く続きます(「労作後倦怠感」)。
CFSやFMの人々の疲労には多くの原因があります。
一つは疾患そのものです。
疾患のせいで、人々は日常活動のためのエネルギーがほとんどありません。
他の原因として以下のようなものがあります。
過度の努力
「エネルギーエンベロープの外」で生活している
疼痛
不快感が続くと、筋肉の緊張を引き起こし、疲れます
睡眠不足
回復睡眠でないと、疲労感が増大します
無活動
活動をしないと運動不足を引き起こし、活動がもっと疲れます
ストレス
ストレスは心配を生み出し、筋肉の緊張を引き起こします
憂鬱
憂鬱になると、無気力になります
栄養不足
正しく食事をしない、あるいは消化不良があると元気がなくなります
薬
薬の副作用で疲労が現れます
上記の疲労の原因に合わせて、疲労と闘う七つの方法があります。
あなたが疲労に悩んでいるならば、疲労管理プランの基盤として以下のアイデアを使うことができます。
ペーシング
おそらく、疲労と、CFSとFMの他の主症状をコントロールする、たった一つの最も重要な秘訣(ひけつ)は、活動レベルを自分の制限に合うように調整することでしょう。
これはしばしば「エネルギーエンベロープの中の生活」あるいはペーシングと呼ばれます。
疾患と闘って、プッシュ・アンド・クラッシュの繰り返しになるのではなく、自分の体の制限を理解して、そしてその制限の中で生活しようと努めます。
ペーシングには、優先順位を設定する、休憩時間を取り入れる、活動時間を短くする、集中力がいる作業と集中力のいらない作業を切り替える、スケジュールに従って生活する、などがあります。
制限は主に、疾患の重症度によって一人ひとり違うでしょう。
Paul Cheney 医師はこの取り組みについて、「良くなるには、常に個々のニーズに合わせて適切に制限を設定することが重要です」と、うまく要約して言います。
このトピックに関しては第3部で読むことができます。
また、精神的な調整にも挑戦します。生活が変わってしまったことを受け入れ、人生を新しい視点で見ることを覚えます。
この受け入れは諦めではなく、今までと違う種類の生活を送る必要があることを認めることです。
その一つは、疾患が課した制限を守ることです。
我々のプログラムの一人の言葉を借りれば、「元気になるには、体が発するシグナルを無視しようとすることから、体がストップあるいは速度を落とすように命ずるときに、それをちゃんと聞くようになるまでの考えの転換が必要です」。
制限を受け入れて、今までと違う種類の生活を送るようになるこのプロセス(過程)は、ふつう数年かかり、第26章で扱うように、喪失を受け入れることが必要です。