疾患と他の因子と相互作用
同じ相互作用のパターンはストレス(Stress)についても当てはまります。
毎日症状を抱えて生活すること自体がストレスです。
さらに、疾患は、しばしば財政(Money)を圧迫し、人間関係(Relationships)を複雑にし、将来に関する不安を大きくします。
このようにして、疾患はストレスを増やします。
しかし、ストレスが、今度は症状を悪化させます。
ストレスが、あまり多くなくても、症状がひどく悪化することがあります。
さらにもう一つ例を示すと、疾患と感情(Emotions)の相互作用があります。心配、怒り、憂鬱、そして悲嘆のような感情は、重い病気がもたらす様々な中断・不安に対する、ふつうで無理からぬ反応です。
CFSと線維筋痛症では、体調が悪いときに特にこれらの反応が強いかもしれません。
なぜなら、この二つの疾患は感情を以前より強くし、感情をコントロールするのをいっそう難しくするからです。
感情の強さは悪循環を引き起こすことがあります。
疾患が感情を強めて、次に、今度は感情が症状を悪化させるという悪循環です。
例えば、人は憂鬱になると皆、わずかな痛みに弱くなります。
また、怒りはふつう筋肉の緊張を生むので、怒りが痛みを強めることがあります。
悪化した症状は、今度は、もっと多くの心配と悲観を生み出します。
疾患と人間関係、疾患とお金の間にも、同じような相互作用があります。
誰かが長期間病気だと、しばしば人間関係が悪くなります。
病人はずっと不快で、元気がなく、他の人たちも生活が中断するからです。
しかし、理解されていないと思う、あるいは見捨てられるのではないかと心配する、というような人間関係の問題は、新たなストレスを生み出し、今度はストレスが症状を悪化させます。
また、疾患は収入を減らすので、財政に影響を及ぼします。
そして、財政的な心配事がストレスを増やし、結果的により重い症状をもたらします。
要約すると、CFSや線維筋痛症になると生活がすっかり変わってしまうので、その影響は広範囲にわたります。
影響は単なる内科的な疾患よりも、もっと多いです。
これらの疾患を管理するプランは、その症状だけでなく、そのすべての影響に取り組むものでなければなりません。
第三に(最も重要です)、慢性疲労症候群と線維筋痛症は、これらの疾患に対する行動と考え方に左右されます。
一例は、疾患が課した制限をどう受け入れるかです。
一つのよくある反応として、症状が重いときと休息しているときの間を行ったり来たりする、プッシュ・アンド・クラッシュ(push and crash)の傾向があります。
症状が強いと寝ます。
症状が和らぐと活動を再開しますが、そのあと、症状が悪化して再びベッドに戻ることを余儀なくされます。
第3部で説明するペーシングが、ほかにとりうる方法を示します。
ペーシングを利用することで、プッシュ・アンド・クラッシュを、もっと安定した予想どおりの生活に換えることができます。
これまでのところ、CFSあるいは線維筋痛症のどちらにも治療法がない一方、他方この二つの疾患に対する行動と考え方は、症状と生活の質に大きな影響を及ぼし、しばしば医学的治療より大きな効果があります。
Charles Lapp 医師は「主治医にできることは限界があります」と言います。これらの疾患から回復するカギは、「疾患を受け入れることと、ライフスタイルの変化を用いて疾患に適応することであり、それは医学的治療では到底及びません」と言います。
この本の中の自主管理アプローチは、病状軽減を進め、場合によっては回復さえ促すことできる対処手段を提供します。
来る章は、前より気分が良くなるために、あなたができる多くのアイデアがあります。
それらの戦略を使えば、痛みと不快を軽減し、病状をいっそう安定させ、肉体的・精神的苦痛を軽減することができ、我々がクラスで何度も見てきたように、病状が改善するかもしれません。