2005年4月下旬、西棟5階トイレ付近の廊下の天井からの有機化合物の揮発量が、急激に増大し、308名の体調不良者を出し、テレビ報道・新聞報道が多数行われ、大きな社会問題になった。
2004年9月からの有機溶媒臭に対する職員からの苦情に対して、教育委員会は、「窓開け換気」や「2005年4月23日の北棟3階の封鎖」等の安全対策しか指示してこなかった。
2005年4月、多数の生徒の訴えと保護者の怒りによって、事故を認めざるを得ない状況になり、保護者説明会を開催せざるを得ない状況になった。
1月27日付けの使用材料一覧表から、防水剤に含有された揮発性有機溶剤の数量を以下に示す。
(2%から4%と表記されているときは、最大値を採用し、kg以下の小数点は四捨五入した。1kg以下の有機化合物は、品名のみを明記した。
●印=揮発性有機溶剤。★=文部科学省学校環境衛生基準にあるもの。*=何らかの有害性がある可能性のある物質。)
●★トルエン=19kg ●★キシレン=58 kg ●酢酸エチル=29kg ●トルエンジイソシアネート(TDI)=9kg ●フタル酸ジオクチル(DOP)=163kg ●酢酸ブチル=7kg ●メチレンビス2クロロアニリン(MOCA)=33kg ●ポリエーテルポリエール=172kg ●プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート=5kg ●アルキルフェノールグリシジルエーテル ●1,6ヘキサジオールジグリシジルエーテル *ビスフェノールA型エポキシ樹脂=2kg *ビスフェノールF型エポキシ樹脂=2kg *ポリイソシアネート=10kg *ポリアミドアミン=2kg *変性脂環式ポリアミン*芳香族炭化水素 *ステアリン酸塩・高級脂肪酸*ウレタンプレポリマー=473kg *ウレタン樹脂 *ポリ塩化ビニール樹脂 *エチレン・酢酸ビニル共重合体=10kg 以上合計=994kgである。
●印(明らかな揮発性有機溶剤)の合計495kgと西棟の工事材料を計算に入れると、800kg程度の揮発性有機化合物の使用を推定できる。
●★(文部科学省の学校環境衛生の基準)は合計77kgとなる。(学校薬剤師による検知管検査当日の2004年12月1日に、防水工事を担当した業者は、「USウレタンプライマー塗布に際し、上記以外にも希釈剤として、トルエン20%・キシレン80%を追加使用した」と、保土ヶ谷高校の職員に話した。)
●トルエンジイソシアネート(TDI)、 ●フタル酸ジオクチル(DOP)、●メチレンビス2クロロアニリン(MOCA)に関しては、発がん性・有害性が指摘されており、特にフタル酸ジオクチル(DOP)=163kgは異常な数値である。このような多量で有害な揮発性有機化合物が、授業中の防水工事で使用された。
階下では窓を開けて、授業をしていた。業者と管理職は、「窓から臭気が教室内に侵入した」と発言した。
それにもかかわらず、対策として「窓を開けて換気すること」のみを言い続けた。
窓から有機溶剤の臭気が室内に、もし侵入したのなら、音楽室・書道室以外にも階下の家庭科被服室、調理室、及び北棟に隣接する中央棟2階の職員室でも同様の臭気が続くはずであった。
窓からの侵入であれば、窓を閉めるように指示するのが普通の判断であろう。