3)農林水産省
農林水産省における化学物質過敏症等に関わる対策としては、農薬のリスク管理や農薬使用低減による環境リスク低減対策が挙げられ、消費・安全局の農薬対策室が所掌している。
農薬のリスク管理については、農薬取締法に基づき、使用の規制及び禁止を行っている他、農薬の飛散による住宅での健康被害を防止するため、農薬使用者が必要以上の散布を行わない、天候・風向きなど近隣の影響を考慮すること、などについての通達-「住宅地等における農薬使用について」(平成19 年1 月)-を、各都道府県及び政令指定都市に対して行っている。
農薬使用低減による環境リスク低減対策については、従来の化学農薬中心の病虫害・雑草防除に代わって、抵抗性品種の導入や天敵活用など、様々な手法を用いて病虫害・雑草管理を行う、「総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針」を作成して、その普及を進めている。
IPM(Integrated Pest Management)は、同指針によれば、病害虫による被害を抑えるための手段を総合的に講じ、人の健康へのリスクと環境への負荷を軽減するための概念として、国際的に提唱されているものであり、その具体的な実践方法として、
① 輪作、抵抗性品種の導入や土着天敵等の生態系が有する機能を可能な限り活用すること等により、病害虫・雑草の発生しにくい環境を整えること
② 病害虫・雑草の発生状況の把握を通じて、防除の要否及びそのタイミングを可能な限り適切に判断すること
③ ②の結果、防除が必要と判断された場合には、病害虫・雑草の発生を経済的な被害が生じるレベル以下に抑制する多様な防除手段の中から、適切な手段を選択して講じることの3点の取組を行うことを基本としている。