(4)関係省庁の取り組み
1) シックハウス対策関係省庁連絡会議
国では、関係省庁が連携してシックハウス対策に取り組むため、平成12 年4 月に「シックハウス対策関係省庁連絡会議」を設置した。現在、厚生労働省、国土交通省、農林水産省、経済産業省、文部科学省、環境省の6 省(発足当時は、厚生省、建設省、運輸省、農林水産省、通商産業省、文部省、環境庁)で構成されており、「原因分析」「健康基準値と測定法の基準」「防止対策」「相談体制整備」「医療・研究対策」「汚染住宅の改修」等のシックハウス総合対策を関係省庁が連携して推進することとした(図-4.3.2 参照)。
以下に、各省の取り組みを示す。
図-4.3.2 シックハウス総合対策の概要
2)厚生労働省
厚生労働省にあっては、医薬食品局に化学物質安全対策室が設けられており、シックハウス(室内空気汚染対策)、化学物質の安全対策、家庭用品の安全対策、毒物劇物対策など、化学物質の安全に関わる対策に取り組んでいる。
このうち、化学物質過敏症等に主に関連すると考えられるシックハウス(室内空気汚染)対策、化学物質の安全対策、家庭用品の安全対策について、以下に概説する。
①シックハウス(室内空気汚染)対策
厚生労働省は旧厚生省時代の昭和60 年に「居住環境衛生対策事業」を開始するなど、室内空気環境の安全管理について取り組んでおり、シックハウス問題については、平成7 年に設置した「快適で健康的な住宅に関する検討会議」が平成9 年にホルムアルデヒドの室内濃度指針値(30 分平均値で0.1mg/m3 以下)を提案するなど、空気環境を含む住宅に関するガイドラインを作成している。
さらに、平成9~10 年に実施した全国実態調査結果などを元に、平成12 年より「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」を設置して、既述の室内空気中化学物質の指針値を策定している。
②化学物質の安全対策
化学物質の安全対策としては、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(以下「化審法」と略す)及び「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律」(以下「化管法」と略す)の2法に基づく取り組みの他、ダイオキシン対策、内分泌かく乱化学物質対策などが挙げられる。
③家庭用品の安全対策
家庭用品の安全対策としては、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」に基づく規制基準を設定しており、また、家庭用化学製品の製造に関わる事業者に対しては、設計・製造・輸送・保管・販売・サービス・使用・廃棄に至る家庭用化学製品の総合的リスク管理のためのガイド、「家庭用化学製品に関する総合リスク管理の考え方」を策定している。
また、同ガイドに基づき、各種家庭用品(防水スプレー、カビ取り剤など)の安全確保マニュアルも作成している。
また、家庭用品等に係る健康被害の実態を把握し公表することにより、家庭用品の安全対策を一層推進することを目的として、昭和54 年より「家庭用品に係る健康被害病院モニター報告制度」を実施しており、皮膚科領域8 病院、小児科領域8 病院、(財)日本中毒情報センターの協力を得て健康被害情報を収集している。
この他、薬事・食品衛生審議会には家庭用品安全対策調査会が設置されており、有害物質の指定等について検討が行われている。