トリレンジイソシアネートの毒性等について。11 | 化学物質過敏症 runのブログ

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TDI 製造工場
1957~1967 年の間にTDI 製造に従事した労働者26 人が、TDI (組成不明) の他にジフェニルメタンジイソシアナート、キシレンジイソシアナートを含むイソシアナート類に3 か月間~11年間暴露された。そのうちの5 人が鼻腔粘膜刺激症状を、16 人が中等度~強度の気道刺激及び眼刺激症状を示した。

他に5 人が流涙、喉の痛み、咳などの粘膜刺激症状とともに息切れ、喘鳴、胸の締め付けなどの喘息症状を示し、TDI による感作と診断された。非暴露の18 人のうち2 人に咳症状が認められたが、他の喘息症状は認められなかった。

TDI 製造工場内のTDI 空気中濃度は1961 年には0.1 ppm から0.02 ppm に下がり、1966 年には0.02 ppm 以下であった。

0.02ppm (0.14 mg/m3) より高い濃度に暴露された5 人が1963 年より前に感作症状を発症した。

1962年以降感作患者は生じなかった。この感作患者の4 人は、アレルギーの既往症をもち、リンパ球形質転換試験 (血中リンパ球がTDI-ヒト血清アルブミン結合物存在下で6 日目にリンパ芽球様形態を示すかを調べる試験) で陽性を示した。

したがって、アレルギー体質のヒトはTDI に感作されやすく、リンパ球形質転換試験で感作の有無を検出できることを示している (Bruckneret al., 1968)。

この報告は、TDI 感作症状は0.02 ppm 以下ならば6 年間以内の暴露では発症しないことを示している。

しかし、作業環境空気中にはTDI 以外のイソシアナート類を含んでいる
ので、気道刺激や呼吸器感作がTDI に由来するかを特定できないと考える。

TDI (2,4-TDI:2,6-TDI 混合比, 80:20) 製造工場で、1956 年の操業開始後17 年間の間に従事した300 人の労働者のうち、30 人がTDI に感作されたと診断された。

そのうちの6 人は臨床検査で0.005 ppm (0.036 mg/m3) のTDI 吸入暴露に対して数分以内で即時に反応し、過敏症状を示した。

一方、他の患者は暴露後3~6 時間で症状を示した。

これらの患者にTDI 感作症状があらわれたのは、操業開始後2~14 年の間であった。

操業開始年に測定されたTDI 空気中濃度は0.05~0.1 ppm (0.36~0.72 mg/m3) であり、平均値は0.06 ppm (0.43 mg/m3) であった。

0.06 ppm の平均濃度は1969 年まで続いたが、1970 年以降TDI 濃度が減少し、1974 年には0.004 ppm (0.029mg/m3) 未満になった。

TDI 濃度が0.05 ppm より高い濃度に暴露されるとTDI 過敏症を生じたが、0.02 ppm (0.14 mg/m3) より低い濃度になった1972 年以降の3 年間に過敏症患者は認められなかった (Porter et al., 1975)