トリレンジイソシアネートの毒性等について。10 | 化学物質過敏症 runのブログ

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8.2 疫学調査及び事例
TDI の疫学調査及び事例を表8-2 に示す。
a. 急性影響
1978~1980 年の間にポリウレタンフォーム製造工場で製造作業中にTDI 原液のこぼしまたは跳ね返しで急性暴露された労働者20 人を対象に、TDI 暴露濃度と血清TDI 特異IgE 抗体価と肺機能との関連性が検討された。

気管支閉塞などによる肺機能の変化を調べるために、肺活量計を用いて1 秒量 (FEV1: 努力性呼出の開始後1 秒間に呼出される量) が測定された。20 人中の4 人のFEV1 が20%減少し、肺機能の低下が認められた。

そのうちの3 人のTDI 特異IgE 抗体価が高かった。肺機能が変わらず、急性症状を示した急性暴露者9 人のうち、1 人が高いTDI特異IgE 抗体価を示した。これらの結果から、急性暴露による肺機能低下と高いTDI 特異IgE抗体価との間には関連があると結論されている (Karol, 1981)。

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b. 慢性影響
TDI の2,4-TDI と2,6-TDI の一般的な組成は80:20 であるが、TDI の製造と使用の工程によって作業環境で暴露されるTDI の組成は異なることが知られている。

TDI 製造工場では、2,4-TDIと2,6-TDI の組成比が80:20 のTDI が製造されることから、作業環境中では主に2,4-TDI に暴露される。

一方、TDI を原料とするポリウレタンフォーム製造工場では、合成過程を通して2,4-TDIと比べて化学反応性が低い2,6-TDI の割合が増加し、作業環境中では2,6-TDI に主に暴露される (Banks et al., 1989; Lind et al., 1996; Rando et al., 1987)。以下、TDI 製造とポリウレタンフォー
ム製造工場の労働者を対象とした研究報告を記す。