トリレンジイソシアネートの毒性等について。6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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6.3 ヒトへの暴露シナリオ
6.3.1 環境経由の暴露
TDI の環境経由のヒトへの暴露経路としては、呼吸からの吸入経路が考えられる。
経口経路については、2002 年度PRTR データから公共用水域への排出はないこと、公共用水域中の濃度の測定結果が得られないこと及び水と反応して加水分解することから、飲料水及び食物(魚類)経由の暴露はないものと考える。

6.3.2 消費者製品経由の暴露
消費者製品として塗料やラッカーにモノマーの状態で含まれていることがあると報告されている (IPCS, 1987b)。ここでは暴露に関する定量的な値が得られていないので考慮しない。

6.4 ヒトの推定摂取量
本評価書において各経路からの摂取量を推定する際、成人の空気吸入量を20 m3/人/日、飲料水摂取量を2L/人/日、魚の摂食量120g/人/日とした。
推定摂取量の算出は、以下の仮定に従って求めた。
大気からの摂取量推定に採用する大気中濃度は、測定結果が得られていないため、推定結果より大気中濃度を全国の年平均の最大値である東海地域における最大値0.20μg/m3 とした(6.1.2 a 参照)。

飲料水及び食物からの摂取については、PRTR 濃度データから公共用水域への排出がないこと及びTDI が水と反応して加水分解することから、暴露はないものとした。
これらの仮定のもとに推定したヒトでの摂取量は、以下のとおりである。

大気からの摂取量 :0.20 (μg/m3) × 20 (m3/人/日) = 4.0 (μg/人/日)
飲料水からの摂取量: 0 (μg/人/日)
魚類からの摂取量 : 0 (μg/人/日)
成人の体重を平均 50 kg と仮定して、体重1kg あたりの摂取量を求めると次のようになる。
吸入摂取量:4.0 (μg/人/日) / 50 (kg/人) = 0.080 (μg/人/日)
経口摂取量:0 (μg/人/日)
合計摂取量:0.080 (μg/ kg /日) +0 (μg/ kg /日)=0.080 (μg/ kg /日)
<大気中濃度推定に関する補足>
TDI は加水分解性の大きい物質であり、環境中の水分と速やかに反応して加水分解されるため、環境中にはほとんど存在しないと考えられる。

しかし、本評価書ではスクリーニング評価を目的とするため大気中濃度推定には加水分解影響は考慮していない。

そのため、実際の吸入経路におけるリスクはより小さいものと想定される
以下に排出量分布の推定に利用した主なデータを示す。
届出外排出量 : 事業所数及び従業員数 (統計情報研究開発センター, 2004)
業種別製品出荷額 (経済産業調査会, 2004)
計算条件
数理モデル : AIST-ADMER1.01
計算対象地域 : 全国 (11地域) 5 km× 5 kmメッシュ
年間排出量 : 28トン (4. 参照)
計算対象期間 : 1年
気象データ : アメダス気象年報2002 (気象業務支援センター, 2004)
パラメータ : 雨による洗浄比1) 0
大気中での分解係数2) 3.5×10-6 (1/s)
大気からの沈着係数 0 (m/s)
バックグラウンド濃度 0 (μg/m3)
推定結果
1) (雨による洗浄比) ヘンリー定数が得られていない(3.参照)ため、雨による洗浄比を0 とした。
2) (大気中での分解係数) = OH ラジカルとの反応速度定数7.07×10-12 (cm3/分子/s)× OH ラジカル濃度:5×105 (分子/cm3)= 3.5×10-6 (1/s) (反応速度定数及び濃度は5.1 参照)


runより:どうやって曝露するのかも大事な事だと思いますね。