その3:第3部:化学物質過敏症に関する情報収集、解析調査報告書 | 化学物質過敏症 runのブログ

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b)シックハウス症候群の病態、治療方法等の研究
厚生労働省では、シックハウス症候群を主として、化学物質過敏症等について、数多くの医師・研究者の協力を得て、平成9 年度頃より病態の解明、診断・治療法の研究や全国規模の疫学研究を進めている。

ここでは、その研究項目となっている以下の研究成果について概説する。
・「室内汚染化学物質の生体モニタリングと健康影響との関連に関する研究」(平成14~16 年度)
・「シックハウス症候群の病態解明、診断治療法に関する研究」(平成12~17 年度)

注)平成15 年度以降は、「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態
解明、診断、治療対策に関する研究」という研究名称に移行。
・「全国規模の疫学研究によるシックハウス症候群の実態と原因の解明」(平成15~17 年度)
・「シックハウス症候群の疾患概念に関する臨床的・基礎医学的研究」(平成15~17 年度)
[1]室内汚染化学物質の生体モニタリングと健康影響との関連に関する研究
本研究では、生体内中の微量化学物質濃度と室内空気中化学物質濃度の測定により、より精確な曝露アセスメントを行うと共に、対象者の症状と体内濃度との関連を検討することを主要な目的としている。

そのため、内装材やクリーニング済み衣服からのVOCs(揮発性化学物質)濃度の測定や、代表的な化学物質についての、一戸建て住宅・マンション・新築校舎における室内濃度、個人曝露濃度の季節変化、尿中濃度の測定等により、室内の微量化学物質と健康影響の関連についての検討を行うとともに、ノックアウトマウスを用いた動物実験により、アセトアルデヒドの感受性についての遺伝子多型による相違の検討を試みている。

その結果、カーペットやクリーニング済み衣類のVOCs濃度の測定では、ノ
ナン・デカン・ウンデカンなどの炭化水素類が検出され、内装材からはホルムアルデヒド・アセトアルデヒドなどが検出された。

また、尿中化学物質の測定濃度では、p-ジクロロベンゼン濃度が個人曝露濃度と良く相関し、室内濃度指針値を超える部屋で生活している人にあっては、有意に高い値を示した。

さらに、尿中ベンゼン、トルエン濃度などでは喫煙者が非喫煙者に対して高くなる傾向を示し、喫煙がVOCs曝露の大きな要因になっていることを明らかにした。
p-ジクロロベンゼンの曝露濃度と尿中濃度との関係を図-4.1.2 に、喫煙者及び非喫煙者の尿中化学物質濃度の比較を図-4.1.3 に示す。

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出典:厚生労働科学研究費補助金・化学物質リスク研究事業「室内汚染微量化学物質の生体モニタリ
ングと健康影響との関連に関する研究 平成14 年-平成16 年総合研究報告書」、主任研究者・内山巌雄、厚生労働科学研究DB
図-4.1.2 p-ジクロロベンゼンの曝露濃度と尿中濃度との関係