文部科学省 疲労研究班平成15年度研究:3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(2)疲労の分子神経機構とセンシング機構の研究
①疲労動物に共通の分子神経メカニズム
ア.サイトカインおよびその関連物質と、疲労のメカニズムの関連を脳部位別に検討する。

また、ストレス時に末梢神経で発生した疲労因子が脳にどのように到達するのかをサイトカイン産生や疲労の発現との関連において検討する。

さらに、この感染・免疫サイトカインに起因する共通機関を解析して感染や運動後の疲労感の分子神経メカニズムを明らかにする。
イ.数種の疲労モデルに共通の分子機構と考えられる抗酸化能力(還元能力)の低下から、モノアミンなど神経伝達物質の生合成やグルタミン酸、ドーパミン、セロトニンの遊離の変化などの神経回路変調に関する分子神経機構を解明する。

②疲労の分子過程における神経細胞死
 激烈なストレスにより海馬の神経細胞死が起こり、短期間の記憶喪失が起こることが知られ、この機構には神経ステロイド低下が関与していると考えられている。

激しい疲労により同様の神経細胞アポトーシス死が起こるかどうかについて、激疲労モデルを用いて検討する。

また、神経細胞死に伴う修復系としての新しい遺伝子産物が同定されているので、それらの発現と疲労感の関わりについても追究する。

③高次脳機能と疲労
 第Ⅰ期では、熟練した手続き学習課題の強制的な連続試行における行動解析がサルにおける疲労の評価に有用である可能性が強く示唆された。このサルの疲労評価法によって、24時間断眠による疲労状態や緑の香りによる疲労緩和効果を認めた。第Ⅱ期では、さらに踏み込んで学習・記憶などの高次脳機能評価を行い、PETなどで脳内の疲労感に関与している領域の検討を行い、この領域における疲労及び疲労関連物質が引き起こす神経機能攪乱機構を明らかにする。

④睡眠障害と疲労
 断眠、徹夜により不快感を伴う疲労が起こる。

断眠により体内・脳内に蓄積する物質には、睡眠導入因子と疲労因子がある。

また、慢性疲労の1つの表象である子供の不登校の原因においては、リズム障害に基づく睡眠リズムの悪循環が重要な問題であり、睡眠障害から疲労に至る分子神経機構を解明することは必須である。

そこで、様々な睡眠障害モデルでの睡眠分子・疲労分子の同定とその作用機序を明らかにする。

⑤慢性疲労患者における睡眠障害
 第Ⅰ期研究で明らかになってきた慢性疲労症候群患者の睡眠障害像をさらに明確にし慢性疲労病態解明の一助とするために、上記④の動物を用いた研究で明らかになってきた疲労と睡眠異常に関する知見を参考に第Ⅱ期ではヒトの慢性疲労と睡眠障害との関連の詳細を解析する。