Ⅵ 環境管理
1.作業現場の環境基準
作業現場での吹き付け、散布時には、作業下現場の空気中の薬剤濃度を最小にするように散布機器や散布方法を工夫し、居住者の健康管理に十分配慮するようにする。
この場合、あらかじめ許容濃度(TLV 0.2mg/㎡)や勧告値が定められているものは、その数値以下になるように
管理する。
2.処理作業を行った後の建物の空気中の薬剤濃度
処理作業後の建物の室内における空気中の薬剤濃度は、世界的にも通常、TLV の20 分の1を安全濃度(National Academy of Sciences による)としていることから、その他の薬剤でもTLV または産業衛生学会勧告値の1/20 であれば、安全性は確保される。
3.薬剤の保管
薬剤の保管管理についても、保管中の薬剤が環境に対して、汚染の懸念がないように心掛ける。
(1) 薬剤は常に施錠できる専用の倉庫に入れ、部外者や幼児、犬、猫等が侵入しない場所に保管し、火気を禁じる。
(2) 薬剤は、食糧や飼料と同じ場所に保管しない。
(3) 保管に関しては、剤型に応じて消防法その他該当取締法に準じて行う。
(4) 施工現場で残った原液その他の材料は元の容器に戻し保管する。
4.廃液及び廃棄
(1) 原液処理
a.少量廃液 布、木屑、オガクズ等に吸着させた後廃棄処理する。
b.多量処理 油液分離処理または沈殿槽で沈殿濃縮を行った後、木屑やオガクズに吸着させ廃棄処理する。
(2) 廃棄物処理
a.可燃性物質 廃棄処理
b.不燃性物質 水または灯油で洗浄した後、廃棄物処理業者あるいは廃品回収業者に引き取らせる。
5.排水処理
(1) 排水基準
それぞれの薬剤に応じた水質汚濁防止法に定める排出基準を順守する。
(2) 排水分析
事業所外へ排出する箇所よりサンプリングした薬剤毎に定めた分析法で分析する。
(3) 分析回数
年3 回以上定期的に分析し、別に漏洩などの恐れのある場合は、その都度分析する。
(4) 漏洩防止
万一排出基準を上回っていることが認められる場合は、その都度分析する。
(5) 測定結果の記録と保存
排水の汚濁状況を把握するため、次の基準より測定結果を記録し、3 年間保存する。
a 測定年月日及び時刻 e 分析者
b 採水箇所 f 分析方法
c 取扱施設の状況 g 分析値に基づいて講じた
d 採水者 措置など
6.漏洩時の処置
(1) 薬剤が漏洩した場合は、吸収性の媒体、例えば砂、軽石、吸着布、オガクズ等に吸着させ、広がりを阻止して回収する。さらに、中和剤などで毒性を除去する。
(2) 薬剤が漏洩し、火災の危険性が生じた場合には、全ての火元を止め、火災の誘発を防止する措置を講じる。
(3) 漏洩した薬剤が、井戸、池、河川等の水系に流入した場合は、直ちに警察署、消防署、土木事務所または保健所に届け出る。
7.火災
火災事故の場合は次のように処置する。
(1) 火災の拡大を軽減するため最大の措置を講じる。
(2) 薬剤が燃焼すると有毒なガスが発生する恐れがあるから注意する。
8.水質汚濁
(1) 飲料を直ちに中止する。
(2) 近隣の井戸を調査する。
(3) 井戸水を科学的に中和する。
(4) 井戸水を汲み出す。(汲み出した放水の場所を確認する)
(5) 中和した水を汲み出した後、溜まった水を約2?程度、新しいポリ容器に入れ、分析を指定機関に依頼する。
(6) 機関による分析には通常1 週間位の日数を見ておく。
分析の間、魚を放流して汚染の程度を確認する。
(7) 分析の結果、問題がある場合は、再度中和して汲み出し、再度分析する。
(8) 結果がはっきりするまでは、飲料の使用は中止する。