3 植栽に用いる花木等の選定・配置等
3.1 種・品種の選定に当たっての留意事項
公園・街路樹等の植栽及び植栽の更新において、選定した樹木等を植栽することによる病害虫の発生リスクはどの程度か、また公園等の性格から剪定や防除などの管理コストはどの程度まで許容できるのか、そして特に農薬による防除の必要性が高い場合には、住民との調整について事前に十分検討する。
3.1.1 特定の種・品種を植える必要性について
植栽の選定に当たっては、その公園等の設置目的は何で、利用主体は誰なのかを明確にし、その目的にあったものとする必要がある。
例えば、子供や地域住民が利用者の主体となる都市の小規模公園では、人体へ危害がある病害虫が発生しない植物及びできるだけ農薬による防除の実施を必要としない病害虫の発生しにくい植物の植栽が望まれるし、一方で、景観を重視した観光名所となるような特定の植物を中心とした植栽が必要な公園などは、病害虫の発生しやすい植物を植栽する場合、病害虫の管理に関する人的、物的コストが大きくかかることとなる。
このため、以下の観点から公園の性格や主な利用者のニーズを十分考慮することが重要である。
・公園の設置目的は何か。
・想定される主な利用者は誰か。
・その目的を達成するために特定の植物(特にその地域で病害虫の発生が多いと見込まれるもの)を植える必要はあるか。
・病害虫が発生しやすい特定の植物を植えるとすれば、どの程度の規模で植えるのか。
また、管理方法及び病害虫の発生や被害の拡大を抑える工夫は何か。
3.1.2 管理コスト
公園等の設置目的に沿った植物を植栽した場合の管理コストについて以下の観点を整理する必要がある。
・発生が想定される病害虫は何か。
また、当該病害虫の人や植栽への影響度合いはどの程度か。
・病害虫の早期発見のための手法はどのようなものであり人員の配置は可能か、また、早期発見できなかった場合の対策は何か。
・発生時の影響度合いを考慮した上で、必要とされる防除手段は何か。
・上記観点から病害虫の管理をするためのコストはどの程度か。
3.1.3 付近の住民との調整
公園等の管理は、予算や人員が限られている中、自治体任せで行われるものではなく、市民協働による管理への転換が求められている。
市民協働による管理を実施した場合は、市民が求める公園等の整備・管理が可能となるとともに、病害虫の管理に関しても、市民と共に、必要な管理手法を検討することにより、病害虫の防除手法への理解や病害虫の早期発見及び通報が得られやすくなるという利点もある。
このため、以下の観点から住民との調整を行うことが望まれる。
・付近の住民と防除を含む管理に関する考え方を共有するための場を設けているか。
・住民が求める公園等はどのようなものか、住民のニーズにあった公園等にする場合の病害虫の管理はどうなるのか。
・防除方法や周知について合意事項を設けているか。
特に農薬散布を行う場合の基準について合意しているか。
・病害虫の早期発見や簡単な防除等について住民の協力が得られるか。