その2:公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2 基本的事項
2.1 農薬に関する法令、通知等
農薬については、その定義、登録制度、使用方法を遵守する義務などを農薬取締法により定められており、リスク管理が行われている。
農薬は、農作物(樹木及び農林産物を含む)の病害虫防除や成長調節の作用を期待して使用する薬剤等(同目的に用いる天敵を含む)であり、特定農薬を除き、毒性試験データなどに基づいた審査を受け登録しなければ製造・販売・使用ができない。

そして、農薬の使用に際しては、適用作物や適用病害虫、希釈倍数や使用回数など、使用方法を守る義務があることなどが同法によって規定されている。
すなわち、定められた使用方法に従って使用をした場合の人畜や環境への影響を判断し、その上で登録の是非を決めるというリスク管理の考え方に立って、市場流通前に登録を義務づけている。

そして、実際の農薬使用場面での留意事項等については、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」として発出し、農薬使用者は、農薬に表示されている事項(農薬の量、希釈倍数、使用時期、使用回数等)を遵守しなければならないと規定するとともに、住宅地等において農薬の使用をするときは、農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講じるよう努めなければならないとしている。
また、平成19 年1月31 日に農林水産省と環境省の局長の連名で発出した「住宅地等における農薬使用について」もその一つであり、これには住宅地近傍における防除に当たって、農薬を環境中に散布する影響を考慮し物理的防除を優先すること、散布に際して付近の住民への周知、散布時の風による飛散の軽減に留意することなど、人畜、環境への影響を最小限とするための事項が記載されている。

さらに、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(以下、「グリーン購入法」という)に基づき、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」において、国や地方公共団体が調達を推進すべき環境への負荷の低減に資する物品や役務が定められているが、このうち、植栽管理について、環境への負荷の低減に資する植栽管理かどうかを判断する基準として、上記「住宅地等における農薬使用について」に準拠したものであること、と記載されているところである。
これらは農薬を使用するに当たって地域や個別の状況を問わず遵守すべき事項であり、本マニュアルの記述を参考に防除体系を作成する場合の基礎となるものである。

2.2 本マニュアルにおける防除の考え方
本マニュアルでは、各自治体がそれぞれの条件に合わせて適切な防除を行うための参考となるよう、留意すべき事項を記載することとする。

ここでは総合的病害虫・雑草管理(IPM,Integrated Pest Management)の考え方を基本とし、その定義としては、基本的に2002 年に国連食糧農業機関(FAO, Food and Agriculture Organization of the United Nations)により作成されたものを採用することとする。

<FAO によるIPMの定義>
「IPMとは、すべての用いることが可能な防除技術を十分検討し、それに基づき、病害虫の密度の増加を防ぎつつ農薬その他の防除資材の使用量を経済的に正当化できる水準に抑え、かつ人及び環境へのリスクを減少しまたは最小とするよう、適切な防除手法を組み合わせることである。

IPMは、農業生態系の撹乱を最小限とする健全な作物の生育を重視し、また自然に存在する病害虫制御機構を助長するものである。」( International Code ofConduct on the Distribution and Use of Pesticides (2002)より定義部分を仮訳)このように、FAO では、IPMは防除効果と経済を考慮しつつ人や環境への影響を最小限にするための適切な防除手法を統合することとしており、農薬使用という選択肢を排除してはいない。

ただし、農作物と違い「農薬その他の防除資材の使用量を経済的に正当化できる水準に抑え」については、街路樹・公園緑地等の防除には一概には当てはまらないものと考えられ、それぞれの自治体が求める水準(病害虫の発生程度や防除にかかる人的・物的費用)により決定されるものと考えられる。

本マニュアルではこの考え方に基づき、各自治体等がそれぞれの置かれた条件の下で適切な防除等を行うための参考となるよう、病害虫の発生の少ない花木等の種/品種選定及び発生しにくい環境作りの工夫、観察・病害虫発生予察等による早期発見、そして発生した場合の危害の判断及び農薬の使用も含めた防除に係る施策という流れを基本構成とすることとする。図1、2は上記の流れを示したものである。(図は省略)