用途[編集]
テフロンでコートされたフライパンは焦げ付きにくい。
現在では日用品、特にフライパンなどの調理器具の表面のコート塗装などに多く使用されている。
食品、調味料による侵食に強く、また摩擦が小さいことから食品の焦げ付きを防ぐ役割を担っている。
強火による加熱や食材などを入れて放置することによって劣化や剥離が起こることもある。
また、電気関係や高温腐食性流体を扱う化学的機械的用途において広く加工用素材として利用される。
チューブ、ホース、テフロンシート、さまざまなパッキン、剥離材、絶縁材、断熱材、粘着テープ、摺動材、製造(食品、プラスチックフィルム、ゴム、セラミックス)、耐熱コンベアベルト、テフロンコーティング、無電解ニッケルテフロンメッキ、すべり材、ベアリング、スリーブ、フランジ、ワッシャーなどの素材として用いられる。
潤滑や撥水機能の向上を目的として他の合成樹脂・油脂などへの添加剤としても使われる。
さらに、二硫化モリブデンなどと同様、エンジンオイルへの添加剤にも使用されるが、デュポン社はこの用途へのテフロンの使用を認めていない[1]。
半導体製造用の各種薬液の製造、搬送、貯蔵等のプラントにも使われており、現代の最先端技術を陰で支える重要な物質である。
フッ化水素酸にも溶けないことから、運搬・貯蔵にはテフロン製容器が使用される。
性質[編集]
ポリテトラフルオロエチレンは耐熱性、耐薬品性に優れ、強い腐食性をもつフッ化水素酸にも溶けない。
また、現在までに発見されている物質の中で最も摩擦係数の小さい物質であることも特長の一つである。
加熱によっても熱流動を起こさないため、通常の樹脂のように溶解成型を行うことができない。
そのため、成型は粉末の圧縮加温によって行われる。これは製品の製造効率上好ましくないことである。
そのため、溶解成型が可能なフッ素系樹脂として、類縁有機フッ素化合物の共重合体や有機フッ素塩素化合物の重合体が開発され、各種のブランド名をつけられて販売されている。
ポリテトラフルオロエチレンは放射線の作用によって容易に重合度が低下し、脆性化することが知られている(ただし、化学的な安定性は維持される)。
これは放射性物質を取り扱う上での問題となるが、新たな加工法として有用ともなりうる[2]。
ポリテトラフルオロエチレン他のフッ素樹脂は化学的に非常に安定であるが、高温の溶融アルカリ金属やフッ素系ハロゲン間化合物には徐々に侵される場合がある。