“香り系柔軟剤”ブーム過熱! 自分でブレンドする時代に!?(5/5)
2013年07月01日
「柔軟剤の香りが残る肌着」まで!
セブン&アイ・ホールディングスは2012年8月、プライベートブランド「セブンプレミアム」の機能性肌着第1弾として、「ボディヒーター」を発売。
2013年3月に機能性肌着第2弾となる「ボディクーラー」を発売した。
遮熱性、吸汗速乾性などに加え、柔軟剤の香りが残りやすい特殊な繊維を使用しているのが特徴。
柔軟剤の香りは、洗濯直後は感じられても時間の経過とともに失われていく。
しかしボディクーラーの場合、洗濯後6日間たっても洗い上がりの香りが残っているとのこと。
「セブンプレミアム ボディクーラー 婦人 綿混キャミソール」(10色)790円。ほかに「タンクトップ」「カップ付きタンクトップ」「フレンチ袖シャツ」「3分袖シャツ」「7分袖シャツ」などがあり、柄・素材も種類が豊富
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機能性肌着は2008年ごろから流行し、各メーカーが参入している。
しかし最近は必要な機能は出尽くし、機能面ではほぼ横並び状態になっているのが現状。
そこで従来の機能性肌着とは違う、新しい機能が必要だと考えたという。「今多くの人が求めている柔軟剤の香りを生かせば、夏の機能性肌着として求められるチャンスがあるのではと考えた」(イトーヨーカ堂 肌着部 肌着担当チーフバイヤー 湯尾美紀氏)。
同社では以前“香り付き衣料”を発売したことがあったが、付けられる香りが限られている点がネックだった。
しかもここ数年で香りを楽しむライフスタイルが急激に広がり、香りの好みはさらに多様化している。
柔軟剤の残香性アップという機能なら、現在発売されている種類豊富な柔軟剤の香りの中から各自が好みの香りを選ぶことができるというわけだ。「夏の肌着は洗濯の回数が多い。
柔軟剤の残香性アップという機能は、実は夏の下着に本質的に求められていた機能を向上させたもの」(同社 肌着部 シニアマーチャンダイザー 小中由加利氏)。
柔軟剤メーカーと提携した新たなキャンペーンも試みている。
洗剤売り場で花王の柔軟剤フレア フレグランスの隣にボディクーラーを置き、肌着売り場のボディクーラーの隣にフレア フレグランスを置いたコーナーを作った。
また3月と5月に1回ずつ、ボディクーラー購入者にフレア フレグランスの試供品を配布するキャンペーンを行った。
どちらも売り場での注目度が高く、イトーヨーカドーでのフレア フレグランスの売り上げも大きく伸びたという。「業界での注目度も高く、新たなキャンペーン手法の成功例となった」(湯尾氏)。
第1次香り系柔軟剤ブーム以前、柔軟剤の主な役割は洗濯後、衣類を柔らかく仕上げることと、静電気防止だった。
そのため香りも控えめだったし、「柔軟剤の香り」とひとくくりで表現されるほど、種類も少なかった。そうした状況が変わったのは、働く女性が増えて洗濯物の「部屋干し臭」が問題になってきたことが大きいといわれる。
洗濯物の部屋干し臭に悩む主婦の間で、米国で大流行していた香り系柔軟剤「ダウニー」(P&G)が並行輸入で密かに売れ始めたのがブームのきっかけだという。
独身時代は香水などで香りの主張を楽しんでいても、結婚後は育児などを経て香りをあきらめる主婦が圧倒的に多い。
香り系柔軟剤の登場は、多くの主婦が忘れかけていた“香り愛”に火をつけたのかもしれない。
(文/桑原恵美子)