● なぜ唾液が歯の健康を保つのか
人間の口に飲食物が入ると、食べ始めて3分後には急激にプラーク内部やプラークが付いている歯の表面が酸性化し、歯の表面が柔らかくなる。
そこで、酸を中和する働きを持つ唾液が分泌され、口内を中性に近づけようとするのだ。同時に、唾液にはカルシウムを補う(再石灰化する)役割があり、柔らかくなった歯の簡単な修復を試みる。
この修復や中和には時間がかかるが、1回の飲食ごとにきちんと口内環境が整えば、酸蝕歯の心配は低くなると言える。
食事を終えた直後、口内に食べかすが残っていると虫歯の原因になる「プラーク」が生成されてしまう。
このプラークは、非常に粘り気がある物質で、うがいだけでは落とすことができないため、歯磨きが必要不可欠になるのだが、食後すぐに歯磨きをすると、表面の酸性化によって柔らかくなっている歯を傷つけてしまう場合も考えられる。
そのため、食事中や直後にできる歯の健康対策には、「唾液をよく出し」「酸性の中和を促す」ことが重要なのだ。
口内が酸性化すると、歯が溶けやすくなるデメリットが、逆に口内がアルカリ性化したときは「プラーク」唾液中のカルシウムなどが付着して石化し、歯石になりやすいというデメリットが生じる。
歯石は虫歯の原因にはならないが、放置すると歯周病の原因になる恐れがある。
ただ、歯石は歯科医で簡単に除去できるものなので、酸性化によって歯が溶けてしまうよりは、口内をアルカリ性に保つことが歯の健康を維持しやすい状態だと言えるだろう。