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ランナーけいさんのブログにあったリンク先の記事です。


・出典:北大阪総合法律事務所
http://www.kitaosaka-law.gr.jp/jouhou/tuusin/040601.htm
シックハウス・スクール事件~化学物質に囲まれた教育現場 弁護士 森平尚美 HOME 情報発信 北大阪通信

シックハウス・スクール事件~化学物質に囲まれた教育現場 弁護士 森平尚美
(日本環境法律家連盟【JELF】の発行誌である『環境と正義』No.71.2004.6月号の事件報告「Victory」欄において、弁護団員が報告した際の記載をご紹介させて頂きます。)


一 シックスクールという概念
 2003年4月、全国で初めて「シックスクール」による損害賠償請求訴訟が大阪で提起された。原告は大阪市在住の兄弟、被告は弟が通学した市立小中学校の設置主体である大阪市と兄が通学した学校法人K学園である。


(一)シックハウス症候群と化学物質過敏症
 シックスクールという概念自体、比較的新しいものと言える。

この概念を理解するためには、前提としてシックハウス症候群や化学物質過敏症の理解が必要である。
 住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により新築・改築後の住宅において、化学物質によって室内環境が汚染され、居住者に様々な体調不良が生じている状態をシックハウス症候群という。

目、鼻、喉の粘膜刺激症状、粘膜の乾燥、皮膚の湿疹やじんましん、疲労、頭痛、目眩、吐き気、嘔吐などの様々な症状を訴えることが多く、症状は多様で一つの特徴的な症状があるというわけではない。

このシックハウス症候群に見られる症状が進行すると化学物質過敏症(Chemical sensitivity:CS)を発症すると言われる。

CSは「過去にかなり大量の化学物質に一度接触し急性中毒症状が発現した後か、または有害化学物質に長期にわたり接触した場合、次の機会にかなり少量の同種または同系統の化学物質に再接触した場合にみられる不快なる臨床症状」と定義される。一旦過敏性を獲得してしまうと、その後は想像を絶するほど微量で多様な化学物質に過敏な反応を示すようになってしまう(Multiple chemical sensitivity:MCS)のである。


(二)学校が発症原因となるケース - ―発症原因型シックスクール―
 シックスクールには二つの異なる意味がある。

一つは、シックハウス症候群の学校版としてのシックスクール(発症原因型)である。

学校の新築校舎や改修工事等において、化学物質に暴露された児童・生徒が目の痛みや頭痛、吐き気を訴えるというケースが数多く報告されている。

この意味でのシックスクールには、被害者が感受性豊かな児童・生徒であり、日中ほとんど教室内にいるため化学物質暴露の時間が長く、校区の問題があって避難が困難である上、学校管理者の知識が乏しく対応が遅れてしまう等の点でシックハウスと比べても深刻な問題があると指摘されている。


(三)CSの生徒が学校に通えないケース  

―アクセス拒絶型シックスクール―
 学校の環境が発症原因となるほどには汚染されていない場合であっても、他の原因でCSを発症してしまった児童・生徒にとってアクセス可能な場所たる条件を備えていないことが問題となる場合がある。

廊下のワックス等、学校に充満する化学物質が原因で生徒が学校に通いたくても通えない。

本件訴訟の原告らは、自宅のシックハウスが原因でCS等を発症していたが学校環境により症状が悪化し、また教師らの無理解による対応が原因で学校に通えなくなってしまった。

ある日、母親は子供達が「自分らはアホや、人間のクズや。学校行けてない、教育も受けてない、外にも出られない、友達とも遊べない。自分は何のために生きてるんだろう。ただ息をしてるだけかなぁ。」と話しているのを耳にしている。

生活環境にあふれる化学物質による日常的な環境汚染が、彼等の、人としてあたりまえの生活の機会、社会へのアクセスの機会を奪っていたのである。