神奈川県立保土ヶ谷高校シックスクール事故の顛末記Ⅰ-2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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■大量・多種類の有害な揮発性機溶剤による健康被害をもたらした防水工事の概要

 2004年9月、10月に雨漏り防水工事が行われ、使用された多種類・大量の有害な揮発性有機溶剤によって生徒・職員が健康被害を受けました。

生徒・職員の命と健康を守るために関係職員と頑張り続け、私にとってあっという間の10年でした。小学校1年生が高校1年生となる程の、長い年月が経過しました。

事故に関する資料は、積み重ねると3mの高さになります。

汚染事故関係資料を共有化し、今後のシックスクール対策に生かしていきたいと思います。
 

私は、2003年4月から2007年3月の4年間、神奈川県立保土ヶ谷高等学校に勤務しました。

転勤して2年目の2004年4月27日に、北棟3階=音楽室、5月10日に西棟=部活倉庫前廊下で大量の雨漏りが発生しました。

雨漏り発見後の翌日に、事務担当者が神奈川県教育施設課技術班に修理工事の依頼票を送付しました。

4月30日、5月12日の両日に教育施設課担当者の現地調査によって、周辺部も雨漏り箇所同様に劣化しているため、該当教室屋上全面のウレタン防水工事が、7月8日の工事決定会議で確認されました。


2004年9月13日 北棟=音楽室・書道室の防水工事を開始。

9月下旬から教室にシンナー臭が充満。


9月28日 担当教諭が管理職Cに、異常な臭気について苦情を申し入れ。


10月1日 工事業者と管理職Cが音楽室で臭気を確認し、「窓から臭気が浸入している。

窓開け換気をしなさい」と担当教諭に指示。

文部科学省の学校環境衛生の基準によれば、日常点検中に臭気があれば、臨時検査を実施することになっている。

また、窓から臭気が浸入しているのであれば、窓を閉めるように指示すべきで、納得のできない説明であった。

工事を担当した社団法人神奈川県土地建物保全協会(以下 保全協会)の総則でも、製品安全データシートの常備と工事に起因する苦情があった場合には、書面にて監督員に提出することになっている。
 9月28日において検査を実施し、使用材料のVOCの危険性の説明と教室使用の禁止措置がとられるべきであった。

しかし、管理職Aと施工業者は、有機溶剤の危険情報を提供せずに、同日から西棟=部活倉庫・同教室前廊下の雨漏り防水工事を開始してしまった。

何度も苦情を申し入れたにもかかわらず、検査は11月17日まで行われず、多量の有害有機溶剤(約500kg/発がん性物質を含む)が、授業中の屋上防水工事で使用された。

その結果、有害有機溶剤が屋上のコンクリートスラブ(鉄筋コンクリート造の床板)のクラック(割れ目)から教室・廊下部分のコンクリートスラブに浸入し、木毛セメント板(注)を汚染した後、天井から教室・廊下等を長期にわたって有害有機溶剤ガスで汚染した事故であった。
注:木材を薄くひも状に削り、セメントを混ぜ、板状に圧縮成型した準不燃材
 2箇所の工事現場のコンクリートスラブには、合計250mに及ぶ大きなクラック(北棟200m・西棟53.3m)があったにもかかわらず、Uカットなどのクラック処理(防水工事の基本的な処理)を怠り、コンクリートスラブのクラックやジャンカ(注)を通じて多量の有機溶剤がコンクリートを貫通して教室を汚染するという、驚くべき杜撰な工事だった。

防水工事前に職員に対して使用材料の危険性の連絡もせず、苦情を申し入れても、使用した危険有害物質の品目や、危険性の情報を全く報告せず、教室退避の指示もなかった。
注:打設されたコンクリートの一部に粗骨材が多く集まってできた空隙の多い構造物の不良部分。