・★カメムシ防除の農薬
カメムシ防除にどのような農薬がどれくらい使われているかということは、残念ながら正確なデータがないのでわかりません。
カメムシを対象とした登録農薬は、381製剤が登録されています。
剤形別に見ると
1,粉剤 278製剤 ほとんどが混合剤
成分 41種類
2、乳剤 63製剤 単剤が多い
成分11
3,フロアブル 18製剤 混合剤が多い
成分 9
4,粒剤 11製剤 単剤のみ
成分 4
5、マイクロカプセル 10製剤
成分 3
6,水溶剤 8製剤
成分 2
7,液剤 2製剤
成分 1
8,粉粒剤 1製剤
成分 1
これらの農薬がどのように使用されているか北海道の例をあげます。
★北海道でカメムシ防除に使用されている農薬
防除面積の最も多い北海道の防除ガイドに、カメムシ対策として記載されている登録農薬を挙げておきます()内は商品名。
有機リン系、カーバメイト系、ピレスロイド系に混じって、ネオニコチノイド系のジノテフランとクロチアニジン(いずれも2002/04/24登録)、フェニルピラゾール系のエチプロール(2005/01/22登録)など最近登録された活性成分も目に付きます。
これら三成分はミツバチの半数致死量0.1μg/1匹以下と低いことが気になります。
【水面施用】
<ネオニコチノイド系>
クロチアニジン(ダントツ粒剤)
ジノテフラン(アルバリン粒剤、スタークル粒剤、同1キロH粒剤、スタークルメイト1キロH粒剤)
【茎葉散布用】
<有機リン系>
DEP(ディプテレックス乳剤)
MEP(スミチオン粉剤2DL、同粉剤3DL、スミチオン乳剤)
MPP(バイジット粉剤2DL)
PAP(エルサン粉剤2、同粉剤2DL、同粉剤3DL、エルサン乳剤、パプチオン乳剤)
<ネオニコチノイド系>
ジノテフラン(アルバリン粉剤DL、スタークル粉剤DL、スタークルL剤DL、スタークルメイトL粉剤DL、スタークル液剤、同液剤10)
イミダクロプリド(アドマイヤー粉剤DL)
クロチアニジン(ダントツ粉剤DL、ダントツ水溶剤)
<ピレスロイド系>
エトフェンプロックス(トレボン乳剤、トレボンEW、トレボンMC、トレボン粉剤DL、トレボンL粉剤DL)
<その他>
シラフルオフェン(MRジョーカーEW、MPジョーカー粉剤DL)
エプチロール(キラップフロアブル)
<混合剤(有機リン系+)>
BPMC・MEP(スミバッサ粉剤20DL、スミバッサ乳剤75)
BPMC・MPP(バイバッサ粉剤DL)
BPMC・PAP(エルサンバッサ粉剤20DL)
イソキサチオン・BPMC(カルホスバッサ粉剤DL)
マラソン・BPMC(マラバッサ粉剤DL)
エトフェンプロックス・MEP(スミチオントレボン乳剤)
★ネオニコチノイド系殺虫剤ジノテフラン
ジノテフランは、比較的新しい農薬で、カメムシ防除に各県が推奨しています。
これはスタークルという商品名で粒剤から粉剤、水溶剤など形を変えて、また、混合剤としてカメムシを対象として34種類の製剤が登録されています。ジノテフランは1993年に三井化学株式会社が発見したテトラヒドロフリルメチル基を有する殺虫剤です。
2002年4月24日に稲、野菜、果実等を対象に初めて登録され、原体ベースで19.1トン(平成14 農薬年度)生産されました。2004年2月に三井化学株式会社は大豆、大根、メロン等への適用拡大登録申請がなされ、食品安全委員会が評価をしました。
食品安全委員会の農薬評価書によれば、ジノテフランの毒性の要約は以下のようです。
「殺虫剤である「ジノテフラン」(IUPAC: (RS)-1-メチル-2-ニトロ-3-(テトラヒドロ-3-フリルメチル)グアニジン)について、食品健康影響評価を実施した。評価に供した試験成績は、動物代謝( ラット)、植物代謝( 水稲、ナス、キャベツ、キュウリ、インゲン、イチゴ、カブ、ミカン、ナシ、リンゴ)、土壌中運命、水中運命、土壌残留、作物残留、急性毒性( ラット、マウス、ウサギ)、亜急性毒性( ラット、マウス、イヌ)、慢性毒性( ラット、イヌ)、発がん性( ラット、マウス)、2 世代繁殖( ラット)、発生毒性( ラット、ウサギ)、遺伝毒性試験等である。本剤には発がん性、繁殖への影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった。
各試験の無毒性量の最小値はイヌを用いた52週間慢性毒性試験の22mg/kg 体重/日であった。一日摂取許容量(ADI)は無毒性量を安全係数100で除した0.22mg/kg 体重/日と設定した。」
しかし、ネオニコチノイド系殺虫剤はミツバチに対する毒性が強く、05、06年に大量死したのは前述したとおりです。