北里大学と日本子孫基金の電磁波過敏症研究に関する疑問 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:BEMSJの「電磁波(電磁界)の健康影響」講座
http://homepage3.nifty.com/~bemsj/index.htm

・北里大学と日本子孫基金の電磁波過敏症研究に関する疑問 

日本子孫基金と北里研究所の研究成果として、マスコミでも報道された。
2003年9月号の日本子孫基金発行の「食品と暮らしの安全」に掲載された電磁波過敏症の研究結果を基に、疑問点を紹介します。
この疑問点に関しては2003年9月に関係者へ電子メールを出しましたが、まだ返信はありません(2005年5月26日現在でも、返信はありません。)返信があれば、この解説を修正・加筆します。
追記:2011年8月17日になっても、返信は着ていないことを、追記として注記します。

今回の過敏症の研究で、ひとつの鍵になるのが、電磁波の暴露条件である。

16Hz、50Hz, 30kHz、100kHz、1000kHzと周波数を変えて検討されていることはすばらしい。
どの程度の微弱な電磁波(磁界)に過敏症の方が反応するかに関心が集まる。

記事によれば、コイルの部分で16mG 頭部の部分で5mGとある。

それ以上の情報は開示されていない。

この曝露強度は、試験を行った各周波数で、共通なのか? 

(疑問点その1)

50Hzで5mG程度の磁界暴露で過敏症の方が反応したとすれば、意味のあるデータとなる。
ICNIRPなどの暴露基準では50Hzでは1ガウスという値になっているので、0.5%程度の強度で過敏症の方は反応しているといえるからである。

ところで、ICNIRPの一般公衆の暴露規定では、1000kHzでは最大9.2mGとなっている。
したがって、過敏症という研究に際しては、1000kHzでは 9.2mGの0.5%の強度で試験を行えば、周波数に依存した過敏症の定量的なデータが得られることになる。
周波数に応じて、暴露磁界強度を変化させることも必要になる。

また1000kHzでも頭部で5mG、コイルの部分で16mGであれば、コイルの部分(すなわち、実験でコイルを首にかけているのでコイルに接する首の部分では、16mGの磁界強弩となり、局所的であるが、ICNIRPの暴露基準を超えることになる。

今回の試験で、どのようなインフォームドコンセントを得られたのかわからないが、通常は、ICNIRPの暴露基準を超えない低いレベルで電磁界をかけるので、、、、という条件ではないかと、想像する。

下手をすれば、今回の実験では、周波数が高い場合には、人に明らかな健康影響を与える恐れのあるレベルを超えた実験を行っていることになる。
多分、大学の研究者が行なっている研究であるから、そうしたことはありえないと思うが、どうなのだろうか?(疑問点その2) 

疑問点その3として、

5mG、16mGという値は、16Hzから1000kHzにわたる試験条件で、どのような測定器で、磁界強度の確認を行われたのか? また、その時の磁界センサの大きさはどの程度だったか?

今回の試験コイルは首に密着して置いているので、コイルのごく近傍では不均一で距離によって大きく変化する磁界分布となる。

もし直径約10cmの測定センサを用いたのであれば、コイルの近傍の磁界を正確に把握することは困難となる。

コイルの極近傍では、局所的に大きな磁界になっていないか、それが、ICNIRPなどの規定値を超える恐れがなかったか、確認されたのだろうか?

参考までに、筆者が、手元の電磁界数値解析シミュレータで、1000kHzで、コイルは30cm四方の角型コイルとし、コイルに50マイクロワットの電力を供給したとして磁界強度を計算してみた。
コイルの中央部では 21mG、コイルの中心軸でコイル面から20cmの場所(頭部に相当する箇所)では5.6mGとなり、記事にある条件に近い数字が得られた。

しかし、コイルから1cmの場所では124mGという局部的にはかなり大きな磁界強度となった。

したがって、首に巻きつけたコイルから1cmの首の内部では、場合によっては124mGという強い局部磁界を暴露していることになり、もし周波数が1000kHzであれば、ICNIRPの規定9.2mGの13倍も強い磁界を印加したことになり、首から脳へ行く血流などに影響が出てもおかしくはない、状況になる。

第4の疑問点、
雑誌に掲載された被験者の写真を拝見すると、首に巻きつけた磁界コイルへの2本の電力供給線(周波数が可変できる適当な発信機に接続されている)はツイストペア線になっていません。
2本の線が「ばらけた」状態になっている。

こうなると、このバラけた線からの磁界漏洩が無視できなくなる。
このばらけた線は体の他の部位に接しており、これらの部位も何らかの磁界の影響を受けていることになる。
ばらけた線を被験者によって、異なる部位に接するようにして試験を行ったとすれば、暴露条件の精度の観点で、疑問が出てくる。

ということで、この研究は、いかに厳格な暴露条件を設定して、行なっているのか、情報開示されないと、なんともいえない。


runより:BEMSJさんには申し訳ないのですが北里はこの研究を黒歴史と考えているようなので情報開示は無いと思います。

予算が無くて頓挫した研究ですからねぇ・・・。