活動における予防原則 3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・Ⅲ.予防の要素
 
予防原則の底流にある主題は、極度の不確実性と無知識に直面して意志決定をすることは、政策と政治的考慮の問題であるということである。

科学は決定することに情報を与えることができるが、「独立した」あるいは「健全な」科学が因果関係の困難な問題を解決できると考えるのは馬鹿げている。

このように、不確実に直面してさらに研究することや何もしないことは、ちょうど予防行動がそうであるように、方針の決定であり、科学的なものではない。
 
環境や一般人の健康に関する意志決定に対する予防的アプローチには、次の特殊な要素がある。
 
因果関係が科学的に確実である以前に予防行動をとる。予防原則を明言している国際条約の大部分は、不確実性の下で行う国に対する一般的な義務として、予防原則を取り入れている。

このことは害を防止するために説明義務のメカニズムを提供する。

一般的義務(特別な法律がなくてもある種の習慣で行う義務)は米国では一般的でない。

例えば、職業安全衛生法は、雇用者は、「死亡や深刻な肉体的傷害を起こし、あるいは起こすと思われる危険がない、従業員雇用と雇用場所を提供する」ことを、求めている。
 
目標設定。予防原則は、過誤や偏(かたよ)りによって悩まされる将来のシナリオとリスクアセスメントに基づくよりは、むしろ良く定義された目標に基づく計画策定を奨励する(以下の、リスクアセスメントの議論を見よ)。

例えば、スウェーデンは、2007年までに製品中の残留性及び生物濃縮性物質を、段階的に廃止する目標を設定している。

スウェーデン政府は、現在、この目標を達成する方法を決定するために、様々な利害関係者を巻き込んでいる。

さらに通常の不確実な将来の「予測」と対照して「backcasting」と呼ぶ時、この型の計画策定は、誤算がより少なく、革新的解決を促す。
 
かわりの方法を探し出し、評価する。どの汚染レベルが安全で、経済的に最善かを問うのではなく、予防的アプローチは害を減す、あるいは除去する方法を問い、提案された活動をなくすことも含めて、目標を達成するあらゆる可能な手段を考慮する。

いうまでもなく、潜在的に危険な活動に対して提案したかわりの方法は、その活動自体と同じ位厳しく綿密に調べなければならない。
 
挙証責任の転換。ある活動の提唱者は、自分の活動が人間の健康や生態系に過度の害を生じないことを証明すべきである。

活動し、害を防止するための権力や管理・財源を持つものが、責任を担うべきである。責任にはいくつかの要素がある。
 
財政的責任。 規則のみで、政府の一部や疑問のある活動の提唱者を予防行動を駆り立てるとは思われない。

しかし、活動によって起こりうる、最悪の結果に対する保証債券や損害に対する負債の要求のような、経済的誘因は、会社が影響をどうして防ぐかを考えることを促進するだろう。

このような保証債は、開発計画による損害を最小限にするために、既に製造プロジェクトやオーストラリアで用いられている。
 
モニターや理解・研究・情報伝達・活動に対する義務。

予防的意志決定の仕組みの下で、潜在的に有害な活動を行うものは、影響を日常的にモニターし(可能なら第三者が検証をして)、潜在的影響が分かった場合、一般人と当局に情報を伝え、その知識に基づいて行動するだろう。

無知と不確実性は、もはや被害を防止するための行動を先のばしにする理由にはならない(以下の不確実性の考察を見よ)。
 
より民主的で完全な意志決定基準と方法の開発。

予防原則は、決定に関する思考と、不確実性に直面して、科学的証拠とほかの証拠の重さをはかることに関する新しい思考方法を求める。

新しい新規及び既存の活動に関する、この型の予防的決定の流れは、後の章で述べる。

因果関係の困難な問題は、本質において政策決定であるので、潜在的に影響を受ける一般人が意志決定過程に深く関与しなければならない。

このように、意志決定に一般人をより深く関与させる構造が、予防的アプローチの下で求められる。