4.判別が必要な疾患と判別方法
(1)スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症
DIHS では、口腔内、口唇に軽度のびらんを認めることはあるが、出血を伴うような重篤な変化はない。また、DIHS で、ときに皮膚に水疱形成を認めるが、皮膚病理組織検査を行うことで、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症と鑑別できる。
(「スティーブンス・ジョンソン症候群」、「中毒性表皮壊死症(中毒性
表皮壊死融解症)」のマニュアル参照)
(2)多形滲出性紅斑
主として四肢伸側、関節背面に円形の浮腫性紅斑を生じる。紅斑は辺
縁が堤防状に隆起し、中心部が褪色して標的状となる(target lesion)。
ときに中心部に水疱形成をみる。
病因は単純ヘルペスやマイコプラズマ
などの感染症に伴う感染アレルギー、昆虫アレルギー、寒冷刺激、妊娠、
膠原病(特に全身性エリテマトーデス)、内臓悪性腫瘍などがある。
(3)多形紅斑型薬疹
医薬品服用後に四肢、体幹に浮腫性の紅斑がみられる。
発熱や肝機能障害を伴うことがあるが、粘膜疹は伴わないか伴っても軽症である。
(4)伝染性単核球症(伝染性単核球症様症候群)
EB ウイルス、サイトメガロウイルスなどのウイルス学的検討により鑑別できる。
(5)麻疹
麻疹に特有の所見の有無とウイルス学的検討により鑑別できる。
(6)水痘
体幹に大豆大までの浮腫性紅斑としてはじまり、すぐに小水疱と化す。
新旧の皮疹が混在し、個疹は数日で乾燥して痂皮となる。
体幹、顔面に多く、被髪頭部、口腔内、結膜、角膜にも生じる。ときに膿疱化する。
潜伏期は10~20 日。
成人や免疫の低下した患者では高熱を伴い、脳炎や肺炎などの臓器障害侵襲を認めることがある。
(7)悪性リンパ腫
必要に応じてリンパ節生検を行うことで、鑑別できる。
5.治療方法
まず被疑薬の服用を中止する。
薬物療法としてステロイド全身投与が
有効である。
プレドニゾロン換算で0.5~1 mg/kg/日から開始し、適宜漸
減する。
急激な減量は、HHV-6 の再活性化とそれによる症状の再燃を増強するおそれがあると考えられており、比較的ゆっくりと減量することが望ましい。