○わが国では電波防御指針を定め、制度化しています。
・電波防御指針が策定されています。
・電波防御指針には、十分な安全率が適用されています。
わが国では、より安全に電波を利用するために、電波防護のための規制を導入しています。
例えば放送局のように、遠くの場所に設置される無線局については、電磁界強度指針の一般環境の基準を適用し、その値を超える場所に一般の人々が簡単に出入りすることが出来ないように、柵などを設けることを電波法令で義務づけています。
また、携帯電話端末のように、頭のすぐそばで使用する無線局については、局所吸収指針の一般環境基準値を適用し、これを遵守することを電波法令で義務づけています。
□電力設備から発生する磁界と電界
テレビや掃除機などの家電製品や送電線などの電力設備に電気が流れる場合には、それらの周りに必ず電界と磁界が発生します。
これらは超低周波電磁界(周波数300Hz以下)と呼ばれていますが、WHOにおいて超低周波電界については健康上の問題はないとの見解が示されているため、経済産業省では超低周波磁界を議論の対象としています。
□わが国における電力設備から生じる磁界に係る研究状況
実際の電力設備から発生する磁界の強さについて、経済産業省では、平成15年から4年間にわたり、送電線、変電所、路上変圧器、地中からの電線ケーブルの立ち上がり部の磁界の大きさを測定する調査事業を実施しています。
また、経済産業省は、超低周波磁界ががんの発生や増殖に対して促進効果があるか否かを調査するため、平成9年度から18年度にかけて、ラット、マウスを使った動物暴露試験を委託事業により実施しています。
同事業により、7つの動物暴露試験を実施した結果、いずれの試験においても、実施した一連の試験条件では超低周波磁界に腫瘍誘発作用は認められず、また、腫瘍に対する促進効果も確認されませんでした。
□わが国の送電線については、国際的に見て厳しい電界規制が行われていること、また、非常に狭い国土を有効活用しなければならないという制約から、電気事業者は、これまで高鉄塔化、鉄塔コンパクト化、逆相配列化など磁界低減にも資する設備・技術の導入に取り組んできています。
その結果、わが国の送電線から発生する磁界は国際的にも十分に低いレベルとなっています。
○安全で安心な電波の利用に向けて、生体電磁環境研究推進委員会を発足
わが国をはじめとして世界中で行われてきた研究では、電波防御指針に示される基準値に満たない電波が健康に悪影響を及ぼすという証拠は見つかってはいません。
このため、世界保健機構(WHO)をはじめとした世界各国は、このような基準値を満たせば安全上の問題はないとの認識を表明しています。
しかしその一方で研究結果が十分に得られていない部分もあり、健康リスクに対してより正しい判断を下すため、WHOを中心として世界中で研究が進められています。
総務省では、電波による人体への影響に関する研究を促進するとともに、電波防御指針の評価、検証を行うことを目的として、生体電磁環境に関する検討会を開催しています。