マツクイムシ虫防除空中散布問題:スミチオン6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2。スミチオンの安全性
1) スミチオンとは何か?
有機燐系農薬は毒ガスとして開発されたスミチオンは住友化学で作っている有機燐系の化合物の商品名で、フェニトロチオンとかMEP O,O-dimethyl O-3-methy-、 4-nitro-phenyl)phosphorothioate とよばれている農薬です。

分子量は277.24、沸点は140度で、油溶性です。
有機燐化合物は19世紀半ばにすでに発見されていましたが、第二次次世界大戦前、1930年代にパラチオシ、タプン、サリン等が合成されました。

これらの有機燐化合物が非常に毒性が強いことがわかり、化学兵器(毒ガス)として秘密にされてきました。

このため化学的性質が明らかにされたのは1950年代に入ってからです(和気、1966;藤原1966)。

2)スミチオンはなぜ人間に有毒なのか?
スミチオンは体の中に入ると神経の働きを妨害したり、正常な物質代謝を狂わせます。
末梢の神経や脳の神経の働きを伝える物質にアセチルコリンというものがあります。

神経線維の末端からアセチルコリンが放出されると筋肉や別の神経を興奮させます。

このアセチルコリンがいつまでもあると、筋肉の痙攣(けいれん)がおっこたり、脳や末梢の神経細胞や神経が興奮したままになってしまいます。

そのために体の中にはアセチルコリンを分解してコリンと酢酸(酢)にしてしまうアセチルコリンエステラーゼという酵素があります。この酵素1分子が分解するアセチルコリンの量は1分間に6万から10万分子といわれています。

スミチオンなどの有機燐化合物はこの酵素を破壊してしまい、アセチルコリンの蓄積を引き起こします。

このために中毒がひどい場合には死んだり、脳の働きに異常がおっこたりします。
このほかに別な酵素(フォスファターゼ等)の働きをも阻害したり、細胞の中のリソゾーム膜を破壊したりします。

3)スミチオンは安全か
「国が安全と言うからスミチオシの空中散布は安全だ」と市は言いますが、国は安全であるとは言っていません。

スミチオンの空中散布が危険であるから、法律や通達などで散布をしてはいけない場所を定めています。

この中には人家、学校、道路などが含まれます。
スミチオンは明らかに有害な物質であるから体のなかに入って良いはずはありません。

しかし、この農薬をやむを得ず使わなければならない場合あるとおもわれます。スミチオンは有機隣系農薬の中では比較的毒性が少ないとされていますが、それでもかなり危険な農薬です。
このためWHO/FAO、日本産業衛生学会などで危険を予防するために基準が作られています。

浜松市の農政課は体重20kgの子供がMEP80を36倍に薄めた液を1300 cc 飲まなければ死なないと言いました。

計算の根拠にも間題がありますが、死ぬかどうかということをもとにして安全であると考えているのは浜松市ぐらいのものです。
WHO・FAOの摂取許容量(経口)は、一日当たり、体重1 kgにつき、20万分の1グラム(0.005 mg)であり、体重20kgの子供では0.1mg (1万分の1g)となっています。

初生小学校の校庭、1平方m当たりこの380倍が飛散しています。WHO/FAO の基準を超すスミチオンが幼児の手のひらほどの面積に落下していることを示しています。
スミチオンが安全な農薬であるとか低毒性であるとかいわれますが、これは散布を強行しようとしている者、もしくは農薬会社のごまかしでしかありません。現実にに中毒の臨床統計例(1970-1979 年)では中毒の原因となった農薬の中で第2位、死亡事故の原因の第5位で、非常に危険な農薬です(菅谷他、1981)。

青森県での調査でも中毒原因農薬の第3位になっています。

スミチオンによる中毒事故は以後の例でも1980年2位、1981年5位、1982年2位となっています(菅谷他、1984)。
「びしょびしょになりながら農薬散布をしてもだいじょうぶだ」と言う声を良く聞きます。

しかし、1979年の長野県での調査ではSS(スピードスプレイヤー)オペレーターでは31-47% の人が中毒になり、また一般男子散布者でも9~12%が中毒になっているという報告があります(永田他、1978)。菅谷他(1978)は1973~1976年に秋田県で調査し、42~60%もの人が中毒になっており、また農薬を3 -4 回散布すると1 回は中毒になっていることを報告しています。
兵庫県衛生研究所の逸見他(1984)によると、農薬の散布に従事しない婦人と比較して散布に従事した農村婦人は、赤血球数・ヘマトクリット・血色素・血液比重・総蛋白・アルブミン・中性脂肪・コリンエステラーゼ・グルコース等の値が減少していることを報告している。
この傾向は、イヌ・サルで行われたスミチオンの長期微量投与実験結果とも一致する。イヌ・サルではコリンエステラーゼ・LDHなどの減少が見られ、逆に肝臓機能の異常を示すGTPは増加している(阿部他、1984)。
農薬品名別中毒臨床例(菅谷他、1981) 農薬別死亡例(菅谷他1981)
1970~1979年
品名種類例数品名
硫酸ニコチンニコチン131 グラモキソン43
スミチオンリン81 エンドリン9
グラモキソンパラコート78 EPN 7
ダイホルタン塩素66 マラソン7
EPN リン55 スミチオン5
DDVP リン49 DDVP 4
ダイアジノンリン36 バイジツ1 3
マラソンリン36 デイプテレックス3
モノックス硫黄35 キタジン2
ランネートカーバメイト28
ダイセン硫黄27
ダイファー硫黄26