室内空気中における化学物質の測定方法 | 化学物質過敏症 runのブログ

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3 室内空気中における化学物質の測定方法

今村 清

大阪府環境農林水産総合研究所


 ホルムアルデヒド等の有害化学物質は建材、接着剤等で広く使用されており、室内空気汚染の観点からはいわゆるシックハウス症候群を引き起こす原因物質の一つとされている。

厚生労働省では,化学物質による人への健康影響に関心が高まってきている状況を鑑み,室内における有害有機汚染物質の規制を図るため,「室内空気汚染に係わるガイドライン」(2002年12月)を定めており、本報はこれまで検討されたガイドラインについて室内汚染物質の測定方法をとりまとめたものである。

室内空気汚染物質の濃度が指針値を満たしているかどうかを判定するためには、室内における状況、採取条件等を厳密に規定し、目的に適った採取方法や測定方法を選択する必要がある。

新築住宅においては、室内空気中の最大濃度を測定するために対象室内を30分換気した後5時間以上密閉してから30分間採取する。

居住住宅では、平常時における化学物質の濃度、暴露量を把握する目的で24時間連続採取する。

原則として所定の場所でそれぞれ2回ずつ採取を行う。

試料採取場所は室内では居間、寝室の2箇所および室外(住宅の外気)の計3カ所、また、室内では部屋の中央付近の壁から1m以上離れた地点、外気は外壁及び空調給排気口から2m?5m離れた地点で、採取位置は化学物質放散源との関係で床或いは地表から高さ0.3m~1.5mの位置で採取する。

 毒性指標に基づいて室内濃度指針値が設定された化学物質は分類するとアルデヒド類、揮発性有機化合物、フタル酸エステル類及び農薬類の4群、計13成分である。室内空気汚染物質の測定方法の概略を表1にまとめた。

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2,4- DNPH誘導体生成/溶媒抽出法はホルムアルデヒド,アセトアルデヒド等の低級アルデヒド類やケトン類が2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)と選択的に反応して生成する誘導体(DNPHD)を測定する方法である。

捕集剤としては、2,4-DNPHの反応試薬をシリカゲルカートリッジに含浸したものを使用する。

容器採取法は揮発性有機化合物の測定に使用される。

試料採取容器は内面を不活性化処理(電解研磨,酸化皮膜処理,シリカコーティング等)したステンレス容器(3L~15L容量)使用する。

減圧下で加熱処理して洗浄し、あらかじめ減圧(13Pa(約0.1mmHg)以下)にした容器を使用し、マスフローコントローラを用いて一定流量で試料を採取する。

大気圧以下で採取を終了する減圧採取法と,加圧ポンプを用いて200kPa(約1500mmHg)程度まで採取する加圧採取法がある。

試料採取した容器を専用の試料濃縮装置に接続し、採取した試料の数100mL程度を濃縮して分析する。

この方法は揮発性有機化合物等多成分について同時測定ができ,採取した試料は数回の繰り返し分析が可能で、また、広範囲の試料濃度に対しても対応できる。

固相吸着/溶媒抽出法は揮発性有機化合物、フタル酸エステル類及び農薬類等広範囲な対象物質の測定に使用されている。

捕集剤を充填したガラス管にマスフローコントローラを用いて一定流量で試料を採取した後、溶媒により測定対象物質を溶出させ、溶出液中の成分を分析する方法である。

濃縮した測定対象物質は溶媒により希釈されるので,試料の捕集量を大きくする必要があり、捕集能力の大きい吸着剤を選択する必要がある。

また、抽出溶媒のブランク値が定量下限値に直接影響するので、純度の高い溶媒を使用する必要がある。

固相吸着/加熱脱着法は揮発性有機化合物及びフタル酸エステル類の測定に使用されている。

捕集剤を充てんしたガラス管にマスフローコントローラを用いて一定流量で試料を採取した後,加熱脱着により測定対象物質を回収し、分析する方法である。

捕集した試料をGC/MS装置に導入し、分析するためには専用の加熱試料導入装置が必要であるが、捕集した試料の全量を分析に供することができるので低濃度の試料の分析に適している。

この方法は再分析が不可能であるので、対象物質の濃度が予測できない場合は、数本の捕集管を用意し、採取量変えて試料採取する必要がある。