・*携帯電話の頭部への影響は少なくなる?
2005年7月8日に東陽テクニカで開催された「ローデシュワルツ社CTIA規格の解説及びTRP/TIS評価システムTS9970型ご紹介セミナー」に参加してきました。
何か、人体暴露に参考になる情報がないかと、期待して行ったのですが、結果、セミナーの中身からには有りませんでした。
携帯電話からの放射電力が頭部に電力が吸収されることによって本来の電波伝搬のための有能電力が減り、放射パターンも変化するので、これらを、頭部ファントムを用いて、実使用状態で評価する・・・・という趣旨でした。
こうした手法で、有能電力が増えるように携帯電話が設計されていけば、結果として頭部の吸収も少なくなります。
*非線形・非平衡・複雑系などの物理学の前に、実験条件が厳格か確認は肝要
ある電磁波の健康影響に関する論文を読んでいたら、以下の興味深い文章を見つけました。
「非線形・非平衡系の十分な知識なくしては、問題の存在を見逃すことが起こる。非線形・非平衡系への深い理解無くして、電磁場の生体への相互作用を十分に理解することは出来ないのだ。逆に考えれば、生体と電磁場の問題は非線形・非平衡系物理学(科学)の格好の舞台になりうるのである。」と。
すなわち、様々なこれまでの研究結果で、電磁波が何かの影響をもたらしているという研究があり、影響をもたらしていない研究もある。
こうした研究結果の錯綜を、複雑系の問題として取り扱うべきとしている。
確かにそうかも知れない。
しかし、私は、その前に、それぞれの実験が厳密に行われているかを確認しなければならない、実験の確実性の検証が優先させるべきと考える。
例1:水が何たる物質であるか定義が明確にならない状態で、研究者Aは火山に近い場所の研究室で水を電気分解した。
酸素と水素の他に硫黄が検出された。
研究者はその結果を論文に書いた。
それを見て、研究者Bは研究者Aから実験に使用した水を譲る受け、追試を試みた。
結果は酸素と水素と硫黄が検出された。
こうして独立した二人の研究者によって再現性のある結果が出た。
よって、科学の教科書を「水は酸素と水素と硫黄でできている」と書くのだろうか?
例2:携帯電話の電波(電磁波)の人への影響を調べた。
携帯電話から10mも離れて実験を行ったら、研究所Aでは影響を検出できた。
この研究所は閑静な田舎にあった。
同じ携帯電話を借り受けて、研究所Bで試験を行った。研究所Bは都会にあり、近隣にTVの放送タワーがあった。
結果は影響が検出できなかった。さて、この研究結果の不一致はどのように考えるか?
研究所BはTV塔からの電波などを遮断しないで実験を行ったので、TV塔からの電波の影響を強く受けていたので、10mも離れた携帯電話の影響はノイズの方が大きく、かき消されてしまい、検出できなかったのかもしれない。
研究所Aでは周囲にノイズとなるものがなく、純粋に携帯電話からの影響を検出できたのかも知れない。
こうした実験条件の厳格さを見極めないと、シロクロの判断はできない。
例3、電磁波の健康影響の研究の中で、窓効果と呼ばれる現象がある。
特定の周波数や、特定の電磁波の強さのときだけ、影響が出る。
60Hzでは影響があるが50Hzや70Hzでは影響が出ない、というケースである。
これは上記の論で言えば、非線形の理論で考えることができる。
でも、その前に、電磁波50Hz、60Hz、70Hzでの実験が、厳格に行われ、周波数以外の条件がまったく同一で結果に影響するかも知れない他の実験条件は完全にコントロールされているのかを、確かめなければならない。
いいかえると、実験の誤りで、たまたま60Hzの時に、電磁波60Hzではない他の要素によって影響が出たのか否かの検証が大事である。
電磁波の健康影響はまだわかっていない部分が多い、あたかも「水」が何かわかっていない状態で各研究者が水を電気分解して、「水素と酸素」である、「水素と酸素と硫黄」であると論陣を張っている、ともいえる。
runより:この例文は非常に興味深いです。
一見こじつけに見えますがヒントはこういう考えから生まれたりします。
正しいか否かより「考え方」なんですね。