・電磁過敏症(EHS)の人々に関する調査
電磁過敏症(EHS)の人々が症状の原因であるとする状況と同様な電磁界曝露の環境で多くの調査が実施された。
その目的は管理された試験室の条件下で症状を引き出すことにあった。
ほとんどの研究調査で、電磁過敏症(EHS)の人々は、電磁過敏症(EHS)ではない人々よりも、もっと正確に電磁界曝露を認識するということはない-ことを示した。
よく管理され実施された二重盲検法(double-blind studies)では症状は電磁界曝露と関連していないことを示した。
ある電磁過敏症(EHS)の人々によって経験される症状は、電磁界とは関係のない環境的要因によって引き起こされているかもしれないということが示唆されている。
例えば、蛍光灯の”チラチラ”、コンピュータ画面表示装置(VDUs)のまぶしさやその他の視覚的問題、及び、コンピュータ・ワークステーションの人間工学的設計の悪さなどがその例かもしれない。
また、これらの症状は、電磁界曝露そのものよりも、電磁界の健康影響について心配する結果としてのストレス反応と同様に、以前から存在する精神的な症状(pre-existing psychiatric conditions)が原因かもしれないという指摘もある。
結論
電磁過敏症(EHS)は個人によって異なる様々な非特定の症状によって特徴付けられる。その症状は確かに真実であり、その症状の深刻さの程度は幅が広い。
何がそれを引きこそうと、影響を受けた人々にとっては深刻な問題である。電磁過敏症(EHS)には明確な診断基準は存在せず、電磁過敏症(EHS)を電磁界曝露に関連付ける科学的根拠は存在しない。
さらに、電磁過敏症(EHS)は医学的診断でもなく、また、それが単一の医学的問題を表しているのかどうかも明確なわけでもない。
医師:影響を受けた人々の治療は、健康症状と臨床上の病像に焦点をあてるべきであり、職場や家庭の電磁界を低減する又は除去したいとする人々が知覚する必要性に焦点をあてるべきではない。
このことは下記を求める:
その症状を起こすかも知れないどのような条件をも特定し治療するための医学的評価
その症状を起こすかも知れない精神医学的/心理学的条件を特定するための心理学的評価
表われた症状に寄与しているかもしれない要因のための職場及び家庭の評価。
それらには屋内空気汚染、過度な騒音、照明の不具合(チラチラ)、又は人間工学的要素を含む。ストレスの低減と職場環境の改善が適切かもしれない。
症状が持続し深刻な不都合がある電磁過敏症(EHS)の人々のためには、治療は主として症状と機能的不都合に向けられるべきである。
これは、(症状の医学的及び心理学的側面に目を向けるために)資格のある医療専門家、及び、(患者への当該有害健康影響として知られている環境中の要素を特定し、必要なら管理するために)保健衛生専門家と密に協力して行われるべきである。
治療は、医師と患者の良好な関係を確立し、状況に対処する戦略を開発することを支援し、患者が職場に復帰し通常の社会生活を過ごせるよう励ますことを目的とすべきである。
電磁過敏症(EHS)の人々:専門家による治療以外に、自助団体が電磁過敏症(EHS)の人々にとって貴重な助けになる。
政府:電磁界の潜在的な健康への危険性について適切に目標を絞り、均衡の取れた情報を電磁過敏症(EHS)の人々、ヘルスケア専門家、及び、雇用者に提供すべきである。
この情報は、電磁過敏症(EHS)と電磁界への曝露との間の関係について、現在は科学的根拠は存在しないという明確な記述を含むべきである。
研究者:いくつかの研究は、電磁過敏症(EHS)の人々のある生理学的反応は正常の範囲から外れる傾向があることを示唆している。
特に、中枢神経系の過剰反応性、及び自律神経系の不均衡性に関しては、個人に対する可能性ある治療のためのインプットとするために臨床調査及びその結果を追求する必要がある。