・ワークショップの目的と範囲
潜在的な電磁過敏症の問題に対応するために、世界保健機関(WHO)は、”電気過敏症(Electrical hypersensitivity)”に関するワークショップを2004年10月にプラハで開催した。
この会議は、欧州委員会調整行動 電磁界-NET、科学技術研究分野における欧州共同(COST 281)、及び、チェコ共和国保健省の共催で行われた。
会議は2日間の国際会議であったが、貢献したい及び/または参加したいと望む全ての人々に開かれた(詳細は Rapporteur report を参照)。
その後、ワーキング・グループ会議が1日行われ、それには、講演者、WHO事務局、及びその他の関心を持つ団体が参加した(詳細は Working Group report を参照)。
ワーキング・グループ会議は、次のトピックスについて議論した。
(ⅰ)特性化、診断、治療
(ⅱ)研究の必要性
(ⅲ)政策の選択肢
ワークショップの目的は、電磁過敏症(EHS)の人々によって報告されている症状と電磁界曝露との間に関連があるかどうか、またその症状と管理についての知識のギャップを埋めるために今後どのような研究が必要かを決定するために、科学的証拠の徹底的な検証を実施することであった。
またワークショップは、電磁過敏症(EHS)の人々を支援するために、何をしてきたか、何ができるかを検証した。
ワークショップの結論
電磁過敏症(EHS)は個人によって異なる様々な非特定の症状によって特徴付けられる。
その症状は確かに真実であり、その症状の深刻さの程度は幅が広い。
ある人々にとって、その症状は彼らのライフスタイルの変更を余儀なくさせる。
電磁過敏症(EHS)という言葉に替えて”電磁界に帰する本態性環境不耐症(Idiopathic Environmental Intolerance (IEI))”という言葉がワーキンググループによって提案されたが、それは前者が、報告された症状と電磁界との間の因果関係が確立されているような印象を与えるからである。
本態性環境不耐症(IEI)という言葉は、WHO の”化学物質の安全性に関する国際プログラム(IPCS)”によって1996年にベルリンで開催されたワークショップに由来する。
本態性環境不耐症(IEI)は、化学的原因論、免疫学的感受性、又は電磁界感受性との関連を意味しない記述である。
むしろそれは下記のように記述されてきた。
多種の再発性症状を持つ後天的障害である
多くの人々には許容できる多様な環境的要因に関連する
既知の医学的、精神医学的、又は心理学的障害では説明できない
本態性環境不耐症(IEI)は、職場、社会、及び個人の環境において人々に有害な影響をもたらし障害を引き起こす不特定の医学的に説明できない症状を共有する多くの障害を包含する。
ほとんどの研究調査で、本態性環境不耐症(IEI)の人々は、そうではない人々よりも、もっと正確に電磁界曝露を認識するということはない-ことを示した。
よく管理され実施された二重盲検試験(double-blind studies)では症状は電磁界曝露と関連していないことを示した。
また、これらの症状は、電磁界曝露そのものよりも、電磁界の健康影響であると信じて心配する結果としてのストレス反応と同様に、以前から存在する精神的な症状(pre-existing psychiatric conditions)が原因かもしれないという指摘もある。
本態性環境不耐症(IEI)を電磁界曝露に関連付ける科学的根拠は現在存在しないのだから、本態性環境不耐症(IEI)を医学的診断として使用すべきではないということが加えられた。