・複数の周波数の電界および磁界への同時ばく露
異なる周波数の電界および磁界への同時ばく露の状況において、各ばく露は影響について加算的であるかどうかの判断は重要である。
実際的なばく露状況下で、下記の諸式が関連する複数の周波数に適用される。10 MHz までの周波数が係わる電気的刺激については、体内電界は次式にしたがって加算される。
ここで、Ei, jは、周波数jでの誘導された体内電界強度。EL, jは、表2 で与えられる、周波数jでの誘導電界強度の基本制限。
基本制限の実際的適用のために、電界および磁界強度の参考レベルに関する次のクライテリアが適用される。
・ここで、
E j = 周波数jでの電界強度。
ER, j = 表3、4で与えられる、周波数jでの電界強度の参考レベル。
H j = 周波数jでの磁界強度。
HR, j = 表3、4で与えられる、周波数jでの磁界強度の参考レベル。
・ここで、I jは、周波数jでの接触電流成分。IL, j は、
表5で与えられる、周波数jでの接触電流の参考レ
ベル。
非正弦波へのばく露
100 kHz 以下の低周波では、電界および、特に磁界は、ほとんどの場合、幅広い周波数帯に分布する高調波成分によって歪められている。
その結果、電界および磁界の波形は複雑な(しばしばパルス状の)パターンを示す。
そのような電界および磁界を、例えばフーリエ変換法(FT)を用いて、離散スペクトル成分に分解し、前述の複数周波数に対するルールを適用することが常に可能である。
この手法は、スペクトル成分は同位相で加算される、すなわち、全ての最大値は同時点に起きるという仮定に基づいており、その結果、一個の鋭いピーク値が生じる。
この仮定が現実的となるのは、スペクトル成分の数が限られていて、それらの位相がコヒーレントでない、すなわちランダムな場合である。
位相がコヒーレントに固定されている場合には、この仮定は必要以上に安全側の見積もりとなる。
さらに、FT スペクトル解析におけるサンプリングや窓関数によってスプリアス周波数が発生するために、ばく露比の線形総和が人為的に増加する可能性がある。
スペクトル法に代わる選択肢として、基本制限または参考レベルに関連するフィルタ関数を用いて、外部電界および外部磁界、誘導電界ならびに誘導電流に重み付けをする方法がある(ICNIRP 2003;Jokela 2000)。
高調波成分からなる広帯域の電界および磁界の場合、フィルタリングによって課せられる
ここで、t は時間;ELi は第i 高調波周波数f iでのばく露制限値;Ai 、?i 、およびf i は、第i 高調波周波数における電界および磁界の振幅、位相角、およびフィルタの位相角である。
位相角を除き、この方程式は加算式(3)、(4)、(5)と同様である。
重み付けの実際的方法(重み付けピーク値ばく露の決定)に関する詳しいガイダンスは付属書(参考)に記載されている。