・防護対策
ICNIRP は、本ガイドラインのすべての事項を満たすことによって電界および磁界へばく露された人体の防護が確保されることを特に言及する。
作業者の防護対策には、工学的管理、制度的管理、個人用防護プログムがある。
職場でのばく露が結果的に基本制限を超える場合、適切な防護対策を実行しなければならない。
第一歩として、可能な時はいつでも、機器からの電界および磁界の放射を許容レベルまで低減する工学的管理を実施するのがよい。
それには、適切な安全設計と、必要に応じてインターロックまたはそれと同等の健康防護の機械的仕組みの使用が含まれる。
立ち入り制限、聴覚的および視覚的警報の使用などの制度的管理を工学的管理と併せて用いるのがよい。
防護衣などの個人用防護対策は、特定の状況では有用であるが、作業者の安全を確保する最後の手段とみなすのがよい。
可能な時はいつでも、工学的管理と制度的管理を優先する。
さらに、電撃からの防護のために絶縁手袋のような物を使用する場合でも、絶縁材は間接的影響に対してのみの防護であるので、基本制限を超てはならない。
公衆の参考レベルを超える可能性がある時はいつでも、防護衣やその他の個人用防護対策を除いて、同様の対策を公衆に適用することができる。また、次のことを防止する規則を設け、実施することも重要である。
・ 医用電子機器および装置(心臓ペースメーカを含む)
との電磁干渉
・ 電気式爆発装置(起爆装置)の起爆
・ 誘導電界、接触電流または火花放電によって生じた火花による可燃性物質の発火の結果として生じるによる火災および爆発
長期的影響の可能性に関する考察
上述の通り、低い強度(0.3-0.4 μT 以上)の商用周波の磁界への毎日の慢性的ばく露が小児白血病のリスク上昇と関連していることを、疫学研究は一貫して見出している。
IARC は、そのような磁界を「発がん性があるかもしれない」と分類した。
しかしながら、磁界と小児白血病の因果関係は確立されておらず、また、その他のいかなる長期的影響も確立されていない。
確立された因果関係がないことは、基本制限においてこの影響を扱うことはできないことを意味する。
しかしながら、プレコーショナリ対策に関する考察を含むリスク管理上の助言が、WHO(WHO 2007a、b)および他の組織から与えられている。
謝 辞 ― ICNIRP は、国際放射線防護学会、世界保健機関、国際労働機関、欧州委員会、ドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全省からの支援に深く感謝いたします。
また、ICNIRP は、公開のオンライン協議を通して貢献して下さったICNIRP 協議専門家の方々およびレビューワの方々全員に感謝します。
本ガイドラインの準備期間の国際非電離放射線防護委員会およびICNIRP ELF タスクグループの構成は以下の通りであった。
ICNIRP
P. Vecchia 委員長(イタリア)
M. Hietanen 副委員長 -2008年まで(フィンランド)
R. Matthes 副委員長 -2008年から(ドイツ)
A. Ahlbom -2008年まで(スウェーデン)
E. Breitbart -2008年まで(ドイツ)
F. R. De Gruijl -2008年まで(オランダ)
M. Feychting(スウェーデン)
A. Green(オーストラリア)
K. Jokela(フィンランド)
J. Lin(米国)
R. Saunders(英国)
K. Schulmeister(オーストリア)
P. Soderberg(スウェーデン)
B. Stuck(米国)
A. Swerdlow(英国)
M. Taki -2008年まで(日本)
B. Veyret(フランス)
G. Ziegelberger, 科学事務長(オーストリア)
M.H. Repacholi, 名誉委員長(スイス)
ICNIRP ELF タスクグループ
R. Matthesグループ委員長(ドイツ)
A. Ahlbom(スウェーデン)
K. Jokela(フィンランド)
C. Roy(オーストラリア)
R. Saunders(英国)