このような場合、身体が占める空間の位置における電界強度または磁界強度の最大値を測定することは、常に、かなり控えめだが安全なばく露評価となる。
身体から数センチメートルの距離にある非常に局所的な発生源については、ばく露評価のための唯一の現実的な選択肢は、個別にドシメトリ法で誘導電界を決定することである。
距離が20cmを超えると、電磁界分布の局在性は少なくなるが、非一様性は残る。
そのような場合には、身体に沿うかまたは身体の一部についての空間平均を決定することが可能である(Stuchly とDawson 2002; Jokela 2007)。空間平均値は参考レベルを上回らないようにする。
局所的ばく露は参考レベルを上回ってもよいが、基本制限を上回ってはならないの重要な規定が付けられる。
空間平均が適用可能なばく露状況に関する詳しい指針を与えるのは標準化機関の職務である。
この指針は、十分に確立されたドシメトリに基づいて行われなければならない。
また、特定のタイプの非一様ばく露に関しては、標準化機関が新しい参考レベルを導出してもよい。
電界と磁界へのばく露の加算性
外部電界および外部磁界がそれぞれに誘導した電界成分は組織中でベクトル的に加算される。
外部電界と外部磁界を基にしたばく露の解析において、安全側に見積もる方法は、電気的な誘導電界成分と磁気的な誘導電界成分が、同位相で、同位置で最大値になると仮定することであろう。
このことは、外部電界と外部磁界へのばく露は加算的であることを意味するであろう(Cech 他 2008)。
しかし、電気的な誘導電界と磁気的な誘導電界の分布は大きく異なることを考えると、そのような状況は非常に稀であると思われる。
接触電流の参考レベル
接触電流に対しては電撃および熱傷のハザードを回避するための注意を払わなければならない。
そのような接触電流に対する参考レベルは10 MHz まで与えられる。点接触の参考レベルを表5に示す。
生物学的反応を引き起こす接触電流の子供での閾値は、成人男性の閾値の約1 / 2であるため、公衆ばく露に対する接触電流の参考レベルは、低減係数 2 を用いて、職業的ばく露に対する値より低く設定される。
注意すべきは、参考レベルは、知覚の防止ではなく、痛みのある電撃の回避を意図していることである。
接触電流の知覚は、本質的には傷害性はないが、不快感として考慮される。過大な接触電流の防止は、技術的手段により可能である。
表5.導体からの時間変化する接触電流の参考レベル
注: f は、kHzで表わされる周波数。