参考レベル
参考レベルは、公表されたデータを用いた数学的モデル化により、基本制限から導き出される(Dimbylow2005、 2006)。
それらの参考レベル値は、ばく露される人体と電界および磁界との結合が最大になる条件のもとで計算されているので、最大限の防護が与えられることになる。
周波数依存性とドシメトリの不確かさが考慮に入れられた。ここに提示された参考レベルは、二つの別個の影響、すなわち、脳内誘導電界(CNSへの影響に関連する)とCNS以外の身体の全部位の組織における誘導電界(PNSへの影響に関連する)を考慮し、これらの組み合わせに近づけた値である(すなわち、50 Hzでは、CNSへの影響についての基本制限値を外部磁界ばく露値に換算する係数は外部磁界1 T当たり33 V m-1であり、PNSへの影響については外部磁界1 T当たり60 V m-1である。ドシメトリの不確かさを見込んで、これらの計算値に対して追加的な低減係数 3 が適用された。)。
さらに、25 Hz までの職業的ばく露に対する電界の参考レベルは、ほとんどの実際的な条件下での接触電流による刺激を防止するための十分なマージンを含んでいる。
25 Hz-10 MHz間については、参考レベルは誘導電界のみの基本制限に基づいており、したがってこの周波数帯において起こり得る全ての条件下での接触電流による刺激を防止するのに十分なマージンは与えられていないかも知れない。
10 MHz までの公衆ばく露に対する電界の参考レベルは、ばく露された人の90 %以上に対して有害な間接的影響(電撃と熱傷)を防止する。
さらに、50 Hz までの公衆ばく露に対する電界の参考レベルは、大半の人において知覚などの表面電荷作用を防止するための十分なマージンを含んでいる。
表3および4に、職業的ばく露および公衆ばく露に対する参考レベルをそれぞれ要約する。
図2および3に、参考レベルを図示する。参考レベルは、人体の占める空間の範囲で一様(均一)な電界および磁界によるばく露との仮定を置いている。
外部電界および外部磁界の空間平均
参考レベルは、身体が占める空間における電界または磁界の変動が比較的小さいとするばく露条件のもとに決定されている。
しかしながら、多くの場合、電磁界発生源までの距離は小さいため、電磁界の分布は非一様であるか、身体の小さな部分に局在する。
表3.時間変化する電界および磁界への職業的ばく露に対する参考レベル(無擾乱、実効値)
・- f は周波数(Hz)。
- 非正弦波のばく露および複数の周波数のばく露に関する
助言は後述の別節を参照。
- 特に強電界中の間接的影響の防止については「防護対策」
の章を参照。
- 100 kHzより高い周波数範囲では、RFに特有な参考レベル
を追加的に考慮する必要がある。表4.時間変化する電界および磁界への公衆ばく露に対する
参考レベル(無擾乱、実効値)
・- f は周波数(Hz)。
- 非正弦波のばく露および複数の周波数のばく露に関する
助言は後述の別節を参照。
- 100 kHzより高い周波数範囲では、RFに特有な参考レベル
を追加的に考慮する必要がある。
図2,3
・図3 時間変化する電界へのばく露に対する参考レベル(表3、4を参照)