Q.8:電磁界についての日本の規制を教えてください。
A.8:送電線などの電力設備については、電界強度を3kV/m 以下、磁束密度を200μT 以下とする規制が制定されています。
携帯電話基地局などの無線設備については、電界強度で27.5~61.4V/m のばく露限度を越える場所への公衆の立ち入りを防止するための規制が制定されています。
また、携帯電話などの無線機器については、頭部における比吸収(SAR)を2W/kg 以下とする規制が制定されています。
【解説】
○ 送電線などの電力設備に関する規制
ICNIRP ガイドラインでは、送電線などの電力設備から生じる超低周波電界への公衆のばく露に関する参考レベル(電界強度)は50Hz で5kV/m、60Hz で4.2kV/m です(p.31 参照)。
これについて経済産業省は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」において、50/60Hz の電界強度に関してICNIRP ガイドラインよりも厳しい3kV/m とする規制を実施しています(p.41 参照)。
この省令の条文(抜粋)を別添に示します。
また、ICNIRP ガイドラインでは、超低周波磁界への公衆のばく露に関する参考レベル(磁束密度)は50Hz 及び60Hz で200μT です(p.31 参照)。
経済産業省は2011 年(平成23 年)、「電気設備に関する技術基準を定める省令」を一部改正し、このICNIRP ガイドラインの磁束密度を規制値として導入しました45(p.41 参照)。
この省令の条文(抜粋)を別添に示します。
○ 携帯電話などの無線設備に関する規制
ICNIRP ガイドラインでは、高周波電磁界への公衆のばく露に関する参考レベルは周波数によって異なり、電界強度で27.5~61V/m です(p.32 参照)。
我が国でも、「電波防護指針」において、これと同等の人体防護指針の電磁界強度指針値(電界強度で27.5~61.4V/m)が制定されています(p.39 参照)。
総務省は「電波法施行規則」において、この電磁界強度指針値を越える場所への公衆の立ち入りを防止するための規制を実施しています。
45 経済産業省原子力安全・保安院「電気設備に関する技術基準を定める省令及び電気設備の技術基準の解釈の一部改正について」http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2011/230331-5.html
また、ICNIRP ガイドラインでは、携帯電話などのように身体の近くで使用される無線機器から発せられる高周波電磁界については、公衆の局所ばく露に対する基本制限はSAR で2W/kg(頭部と胴体)とされています(p.30 参照)。
我が国の「電波防護指針」でも同様に、頭部における局所SAR を2W/kg とする規制が制定されています(p.40 参照)。
これらの法令の条文(抜粋)を別添に示します。