フェニトロチオン4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・水生生物への影響
両生類
 
● 卵黄期にカエル(Microhyla ornata)の胚を96時間1 mg/lのフェニトロチオンに曝した場合、発生に影響は見られなかった。

3 mg/lへの被ばくは体表の水ぶくれをおこし、5 mg/l以上は異常行動・脊柱の湾曲・色素形成消失・成長遅滞を起こした[2]。
 
魚類
 
● 魚が最高レベルの取り込みに達する時間と有機燐残留を保持する程度は、化合物が水中に残留する程度と直接関連する。

0.6-1.2 mg/lのフェニトロチオンに曝されたモツゴは、3日後に最も高い体内濃度(162 mg/kg)に達した。

フェニトロチオン(4.9 mg/kg)は魚内で4週間より長く残留する[1]。
 
● フェニトロチオンは魚にやや有毒と考えられる。

96時間LC50(魚の半分が死ぬ濃度)はブルークトロートで1.7 ppm、ブルーギルで3.8 ppm。温水魚と冷水魚の両方に中程度に有毒である。

種々の北米淡水魚に対する96時間LC50も、2-12 μg/lと報告されている[1]。
 
● 魚に対するフェニトロチオンの慢性毒性は低いと考えられている。

コイに対する48時間LC50は2.0 mg/lと4.1 mg/lの範囲である[1]。
 
● タイセイヨウサケ(Salmo salar)を様々な濃度の工業品質フェニトロチオンやこの農薬の作業用製剤に7日間、あるいは作業用製剤に2回7日開けて24時間曝した。

脳のアセチルコリンエステラーゼ活性はフェニトロチオン濃度が増加するに連れて減少した。

回復期間は抑制の量に直接関連し、0.004μl/lフェニトロチオン被ばくからアセチルコリンエステラーゼの回復は1週間以下を要した。

アセチルコリンエステラーゼモニタリングを通じてこのような低レベルフェニトロチオン被ばくを検出するためには、サンプルは散布作業後直ちに取る必要がある[2]。
 
● カナダのニューブルンスウィック森林で1エーカーあたり2ないし3オンスのフェニトロチオン空中散布は、散布地区の小川にいる魚に有害な影響を及ぼさないと報告されたという[1]。
 
● ニジマスに対するフェニトロチオンの急性毒性に関する研究で、胚は最も感受性が低く、卵黄嚢を持つ幼魚期は中間で、小魚と成熟した魚は最も敏感であることが知られている。

ニジマスに対するフェニトロチオンの毒性は温度上昇とともに強くなる[1]。
 
● スミチオンはコイCyprinus carpioの受精卵の発生に悪影響を与える。受精卵が0.10%と0.01%のスミチオンに曝された場合、孵化率は3.2%と62.9%である[2]。
 
● フェニトロチオンの分解産物はフェニトロチオンそのものより毒性が強い。水生生物に対する農薬分解産物の影響を、受精卵(メダカ)と成魚で検定した。

分解産物は溶液のpHを10または14に調節し、次に30℃または-3℃自然の冬の太陽光(広島、日本)に曝して調製した。

200 mlの未処理のフェニトロチオン、またはpH 10で分解したフェニトロチオン、pH 14で分解したフェニトロチオン乳剤に、卵を5日間曝した。

フェニトロチオン濃度は0.25、0.50、1.0、2.0、4.0 ppmであった。

孵化率は未処理のフェニトロチオン溶液では影響を受けなかった。

未処理のフェニトロチオン乳剤で異常な稚魚の発生率は0から1.7%であり、pH 10で分解した溶液では1.7から78%、pH 14で分解した溶液では2.4から75%であった。

異常には輪状の体軸と曲がったひれがあった。

孵化3か月後、生存率はブランクで74%、対照で87%(ツウェーン80添加)、0.25 ppm未処理群で35%、0.5 ppm未処理群で19%、1.0 ppm未処理群で5.5%であり、2.0 ppm以上では生存しなかった。

pH 10分解液被ばくの3か月生存率は、0.25 ppmで13%、0.5 ppmで16%であり、2.0 ppm以上では生存しなかった。

pH 14分解液では0.25 ppmで19%、0.50 ppm以上では生存しなかった。

10匹の成魚群を3種のフェニトロチオン液に被ばくさせた場合、1 ppm濃度48時間被ばく後ほぼ全てが生存し、8 ppmの濃度では24時間で全てが死んだ。

pH 10分解液では、2 ppm濃度48時間で3匹が生き残り、4 ppmでは生き残らなかった。

pH 14分解液では、2 ppm 48時間で9匹、4 ppm 24時間で9匹、4 ppm 48時間で1匹が生き残った[2]。