トリクロルフォン2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・慢性毒性
 
● 有機隣剤に対するくり返しあるいは長期被ばくは、急性被ばくと同じ影響をおこすだろう[1]。
 
● くり返し被ばくした労働者で報告されている急性中毒時以外の影響には、記憶と集中力障害・方向感覚喪失・重度の抑うつ・興奮性・混乱・頭痛・会話の困難・反応時間の遅延・悪夢・夢遊病・眠気・不眠がある。

頭痛や吐き気・衰弱・食欲低下・不快感を伴うインフルエンザ様状態も報告されている[1]。
 
● 3か月間イヌに45 mg/kg/日を投与した場合、血清コリンエステラーゼは正常の60%に下がった[1]。

12週間食物に混ぜて約10.5 mg/kg/日のレベルを投与した場合、同じ影響が現れた[1]。

トリクロルフォンを100 mg/kg/日を繰り返して投与した検査期間の間、ラットのコリンエステラーゼ活性は正常レベルの半分よりも低下した。

50 mg/kg日の投与量は正常レベルの50-75%に活性を低下させた[1]。

1年間この殺虫剤を500 mg/kg/日経口投与したラットで、トリクロルフォンは病的変化を生じなかった[1]。
 
● 脳の浮腫(ふしゅ)(液体の過剰集積)や器官の充血・肝臓の様々な場所の変性・肺の炎症・心筋の変化が、工業品質トリクロルフォンの非常に高い経口量300 mg/kg/日を5日間投与したラットで観察された。
 
● 脳の障害と肝臓や腎臓(じんぞう)・膵臓(すいぞう)・肺・精巣の変化が、6か月間1又は2、5 mg/kgのトリクロルフォン製剤(クロロホス)を毎日、あるいは5 mg/kgを週ごとに経口投与したウシで見られた[1]。
 
 
生殖への影響
 
● トリクロルフォンは生殖へ負の影響を持つと思われている[1]。
 
● 胚死亡数増加と生存胎児数減少・胎児奇形数増加が、妊娠13日目に胃管によって80 mg/kg体重を1回経口投与されたラットで観察された[1]。
 
● ラットの生殖に関するトリクロルフォンの影響に関する3世代研究の間に、約150 mg/kg/日の投与量は、妊娠率の低下や出生時に発達の低下や、離乳まで生き残らないことを引き起こした。

50 mg/kg/日の投与量は、一腹の仔数と個々の仔の体重を減少させた。

15 mg/kg/日の投与量では、繁殖に関して検出できる影響はなかった[1]。
 
● 母体の血中に入ると、トリクロルフォンは胎盤を通ると思われる[1]。
 
 
催奇(さいき)形影響 (器官毒性も見よ)
 
● 妊娠した時期にマウスにトリクロルホンを、100 mg/kgまたは200 mg/kgを1回腹腔投与し、妊娠3日目に胚を調べると、投与しなかったマウスより細胞数が少なく、小核が多く見られた。妊娠9日目では、投与しなかったマウスより体節数が少なく、染色体数の異常な細胞群が見られた[11]。
 
● トリクロルフォンは、55日に55 mg/kgの投与量を投与した場合、ブタの子供に歩行不能と振戦(しんせん)を引き起こした[1]。
 
● ディプテレックスは、妊娠ラットに胃管を通して480 mg/kg/日を妊娠6日から15日に投与した場合、催奇形があったが、妊娠8日あるいは10日のみに投与した場合はなかった[1]。
 
● 催奇形的影響は、妊娠7から11日に400 mg/kg/日を投与したハムスターでも認められた[1]。
 
● 約150 mg/kg/日をえさに混ぜて食べさせたラットの三世代研究[1]、あるいは50-70 mg/kg/日の投与量で行ったウサギの代謝研究で、奇形発生の証拠はなかった[1]。
 
● トリクロルホンは脳の奇形(低形成)を生じる。

低形成が起こる敏感な時期と投与量を、テンジクネズミで調べた。

必要な投与量は3連続日で100 mg/kgであった。

最も敏感な時期は小脳では妊娠42-44日、大脳では48-50日であった。

脳のほとんどの部位の重量が減った。

小脳は最も脆弱な部分であるが、延髄や視床下部も重量が減った。

この奇形作用のメカニズムは不明であるが、DNAのアルキル化やDNA障害の修復機構への影響が考えられる[6]。
 
● ハンガリーのある村で、1989-90年に出生した15人中、11人(73%)が先天異常であり、6人が双子であった。

11人の中、4人はダウン症候群であった。

このような先天障害が群発した考えられる原因(既知の催奇性要因・家族性遺伝・近親婚)は除外された。

症例対照研究と環境調査により、地域の養魚場でトリクロルフォンの過剰使用に容疑が指摘された。

この化学物質の魚中の濃度は非常に高く(100 mg/kg)、ダウン症候群の赤ん坊の全母親を含む、数人の女性は、観察された先天異常に決定的な時期に汚染魚を食べていた。

この他の先天異常には、心室中隔欠損+肺閉塞や先天性鼠径ヘルニア・気管支狭窄・鎖肛・口唇裂・ロバン連鎖などがみられた。
 
● ハンガリーの村でトリクロルホン汚染魚を食べた女性でトリソミーの発生は第2減数分裂時の誤りによるものであった。

ドイツのビーレフェルト大学の研究者はマウスの卵細胞で異常発生メカニズムを探った。

トリクロルホンによって、卵細胞の紡錘体に異常が起こり、染色体の分離に誤りが生じることが分かった[5]。