誰のための添加物行政か | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
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・ニュースレター69号より
誰のための添加物行政か
鈴鹿医療科学大学薬学部 中村 幹雄
 食品添加物は、食品の製造、加工、保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤等によって使用される物質です。

①色、香、味、テクスチャーの付与、

②製造・加工の効率化、

③保存性の向上、

④栄養強化を目的として使用されます。

1)取締行政
 粗悪な着色料を取り締まる「アニリン其他鉱物製ノ絵具染料ヲ以テ飲食物ニ着色スルモノ取締方」が内務卿から各府県に通達された(明治11年4月)ことが食品衛生に関する最初の取締りです。

さらに、「飲食物其ノ他ノ物品取締ニ関スル法律」(明治33年2月、法律第15号)を制定し、行政庁が法律の定めるところにより、販売の用に供する飲食物等の製造、採取、販売、授与、使用を禁止、物品の廃棄処分、検査のための収去、営業の禁止・停止をできるようにしました。

翌3月には、内務省令により、これらを警視総監や知事の職権とし、軽易なものについては警察官署に委任できるとし、警察官による食品衛生の取締りが行われるようになりました。
 食品衛生は、富国強兵・殖産振興を支える労働力を維持するためのものでした。

正に「取締行政」であり、手法は「通知行政」「裁量行政」でした。取締りが行われたにも関らず毎年有害性着色料による中毒被害(主にヒ素)が発生しました。
 第二次世界大戦の敗戦により、新憲法が制定され、それに伴い1947年5月に「食品衛生法」が制定され、関係法令も整備されましたが、「取締行政」「通知行政」「裁量行政」は変ることはありませんでした。
極めて不十分な取締行政の下でも、着色料、防腐剤、人工甘味料の違反による摘発は続きました。

2)指定制度
 1955年に森永ヒ素ミルク中毒事件が起こり、これを契機とし、1960年に「第一版食品添加物公定書」が公表されました(198品目)。

その後も食品添加物の指定と消除が繰り返され、1970年頃には350品目程度にまで増加しました。
 現在、食品添加物は原則として、厚生労働大臣が定めたもの以外の製造、輸入、使用、販売等は禁止されており、この指定の対象には化学的合成品だけでなく天然物も含まれます。

例外的に指定の対象外となるものは、一般に飲食に供されるもので添加物として使用されるもの及び天然香料のみです。

従って、未指定の添加物を製造、輸入、使用、販売した場合には食品衛生法第10条違反となります。

医薬品のような承認制度ではない国による「指定制度」が続いています。
 着色料のアナトー色素の水銀汚染問題から、水銀規制に尽力しました。その結果、国際規格(JECFA規格)では水銀を規制することになりましたが、日本は規制していません。

 増粘多糖類のカラギナンに発がんプロモションの疑いが生じたことから、国際規格では「分子量5万
以下は、5%以下」との限度規格が設けられましたが、日本は規制していません。欧米では「離乳食に使用しない」は常識ですが、日本では制限されません。ある種の加工でん粉についても同様の状況です。
 子どもの多動性との関連の疑いがあることから、アゾ系タール色素の使用をヨーロッパでは極力制限することになりましたが、日本は規制していません。
 2007年ダイオキシンで汚染されたグアーガムを添加したアイスクリームが回収されました。私は、グアーガムのダイオキシン検査を要請しました。
 このように、日本の食品添加物規制は、「予防原則」「子どもを守る」という観点が欠けています。

福島で「20ミリシーベルト」を子どもに強要した民主党政権は悪魔以外の何者でもなく監視が必要です。
 サリドマイドの教訓から厚生大臣官房審議官が、食用赤色104号、105号、106号については催奇形性試験を実施すると1970年12月、衆議院物価問題特別委員会で答弁しましたが、食用105号、106号については実施されていない可能性があります。

毒性試験や疫学調査に厚生行政や日本の大企業は消極的でした。学界も行政や産業寄りの姿勢でした。