誰のための添加物行政か2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・3)「極力制限」から「規制緩和」への方針転換
 1970年頃の国会で、「食品添加物は極力使用を制限する」と答弁し、30数年間は約350品目に保たれてきましたが、2002年に発生した食塩中のフェロシアン化物の混入問題を契機として国際調和へ舵を切りました。フェロシアン化合は、日本の食塩メーカーには不要でした。

規制緩和により、今や413品目(2011年3月15日現在)に増加しました。

 食品添加物の数の増加は、日本の食品産業に必須ではありません。

乳化剤ポリソルベートが指定される前は、ショ糖脂肪酸エステル等で加工食品を生産することは可能でした。

食用赤色40号が指定されなくても赤色に着色することは可能でした。

「国際汎用添加物」カルミンが指定されていない日本では、コチニール色素を使いこなしています。

日本の食品業界は、云わば「ガラパゴス状態」でしたが不自由ではありませんでした。

その証拠に、様々な加工食品が世界に先駆けて開発され、上市されてきました。
 企業からの申請制度もなく、国民からの消徐の申し出もできない制度、即ち「官僚による官僚のための制度」です。

取締りが主目的で、食品産業振興が従です。国民の視点はありません。

自動車や家電等の輸出産業の振興のために、欧米の圧力に呼応し、発展途上国との経済連携協定促進のために、食品輸入の障害である食品添加物規制を緩和しています。

4)まとめに代えて
 厚生労働大臣が食品添加物を指定する際には、内閣府食品安全委員会の健康影響評価を受ける制度になりました。

しかし、内閣府食品安全委員会は、安全性に関る化学的・病理学的検討を実施する部隊を有しておりません。

国立医薬品食品衛生研究所(旧国立衛生試験所)は厚生労働省の所轄です。実際の安全性の確認は厚生労働省経由となります。

机上の作業のみが行われているのです。厚生労働省に施策に「お墨付き」を与えることが目的ですので、それで事足りているのでしょう。
 厚生労働省の医薬食品局食品安全部は、医師、薬剤師、獣医師と法学出身者が主要なポストを占めます。

化学を担う薬系の官僚のトップは審議官です。局長には昇進できません。食品は医薬に比べ地位が低いので、医薬品関係の主要な課長を歴任し、医薬品機構も経験したものが審議官に着任します。

課長以上は政治家のバックも必要と囁かれてきました。
 イレッサの裁判におけるいわゆる「下書き」提供問題に見られるように、官僚が学界にも働き掛け世論誘導を行うことは常套手段です。

今回のように明るみに出て処分(相当軽い)されることは稀です。
 学者は、自らの研究費、グループの研究費や退職後の地位と収入を確保するために、行政の審議会の委員を引き受け、「お墨付き」を与え続けます。

官・産・学の癒着による世論誘導が行われます。食品添加物行政についても、「原発村」の構図と同様です。国民が立ち上がる以外に道は開けないと思います。
< 参考>
・「 食と消費者の権利:食品添加物、遺伝子組換え食品を例として」( オブアワーズ、2009 年)
・「 食の安全と安心:見える表示・見えない表示」( オブアワーズ、2011 年)