・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
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2011年12月23日 欧州委員会
内分泌かく乱物質の最先端の評価
ChemSec News 2012年2月21日 EUの報告書が、
今日の科学は内分泌かく乱物質のリスクをとらえていないことを示している
訳:安間 武/化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年3月3日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/EC/111223_endocrine_disrupters.html
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エグゼクティブ・サマリー
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この報告書は、欧州委員会環境局から委託を受けたプロジェクト”内分泌かく乱物質の最先端の評価”の結果を示すものである。
この報告書は、2002年以来のこの分野の科学の進展を要約するものであり、植物防疫製品規則(PPPR (1107/2009))(訳注1)、新殺生物剤規則(the new Biocide Regulation)(訳注2)、REACH (1907/2006)のような欧州連合(EU)の重要な化学物質規則の中、で内分泌かく乱物質が扱われている方法を記述している。
過去20年の間に、多くの内分泌関連の人間の疾病が増加傾向にあるという証拠が強まっている。統一された診断基準がないので、この疾病の時間的な傾向の正確な記述は難しいことが多いが、これらの困難が克服できたところでは、疾病傾向が明確になってきている。
適切な生殖と発達のための能力に有害な影響がある。野生生物の個体数が影響を受けており、時にはそれが広がっているという証拠がある。
これらの傾向には複数の原因があり、化学物質曝露が関与しているという証拠が強まっている。
それにもかかわらず、特定の化学物質をリスク因子として特定することには著しい困難がある。
特に、曝露が起きた後に化学物質が組織の中に長い間留まることがない場合、感度が高まる期間に曝露を測定することができない時には、曝露との関連性を検出することは不可能である。
広範な実験室での研究が、化学物質曝露は人間及び野生生物の内分泌系の障害に寄与するという考え方を支持している。
発達の重要な期間における曝露が、後にならないと明確にならない不可逆的で遅れて現れる影響を引き起こすことがある。これらの毒物学的特性が、内分泌かく乱化学物質を、残留性・生物蓄積性・有毒性化学物質はもちろん、発がん性物質、変異原性物質、生殖毒性物質と同等の懸念ある物質と考えることを正当化する。
WHO/IPCS(WHO / International Programme on Chemical Safety)によって開発された内分泌かく乱化学物質の定義は、人の健康と生態毒性学的なハザード及びリスク評価に適用可能であると一般的に受け入れられている。
内分泌かく乱物質の特定のために国際的に合意され確認されたテスト手法(OECD)は一般的に有用であるとみなされているが、それらの方法は既知の内分泌かく乱作用影響の限定された範囲しかとらえることができないということが認められている。
野生生物種に影響を及ぼすことのできる化学物質の特定について大きなギャップが存在する。
これまで、比較的コスト効果のあるスクリーニングレベルの分析における明確な結果から有害影響の可能性を推論することは不可能であった。
広範な内分泌かく乱影響のための合意され確認されたテスト方法は存在しなかった。
多くの場合、テスト用に開発することができるであろう科学的研究モデルでさえ見当たらない。
このことは、人と野生生物への有害影響を見逃す可能性とともに、少なからぬ不確実性をもたらす。