オバマ政権のEPAにこの報告書を早く完成させるよう圧力をかけてきた環境活動家らは、今回の発表を歓迎した。
”27年も遅れており、私は全く正直に言って、この報告書は日の目を見ることは決してないのではないかと思っていた”と健康環境正義センター(CHEJ)の代表ルイス・マリーギブスは金曜日に声明の中で述べた。”今日、アメリカ人は、裏で何十年間もの間、ダイオキシン類の危険性についての真実を隠し、歪曲してきた化学産業界に対して大きな勝利を得た。科学は明快にした。ダイオキシンは我々の子どもたちと環境にとって有毒である”。
天然資源委員会の主席民主党員である米下院議員エドワード J. マーキー(民主党-マサチューセッツ)は、”EPAはこの危険な化学物質が公衆に及ぼす健康影響のあるものに光を与えることによって、ダイオキシンから公衆を守ることに向けて重要な第一歩を踏み出したと述べた”。
彼は、化学産業界に対してこの報告書の完成を妨害するための活動を止めるよう求めた。
環境活動家らは現在、EPAに対して発がん性の部分の評価を完成させ、有害廃棄物浄化後の土壌中について許容できるレベルの基準を含んで、放出と曝露を削減するための国家計画を開発するよう強く促した。
ドラフト報告書が出たときに、化学産業の主要な業界団体である米国化学工業協会(ACC)は、”それは科学的に欠陥がある”と主張した。
”EPAは、公衆の健康に益することを明確にすることなく、かつてない厳しい、そして金のかかる規制をもたらす極めて低いレベルのダイオキシン曝露からのリスクを過大評価していることは明らかである”と、ACCの弁護団副議長デービッド・フィッシャーはその当時に述べた。彼は、放出は著しく低下しているのだから、この評価が公衆に益することは、例えあっても、ほんのわずかである”と述べた。
EPA当局は、1987年以来、産業からのダイオキシン放出は90%以上低減している。しかし、ダイオキシンが放出された後、この物質の痕跡は長年、数十年間も食物連鎖中に残留していると述べた。
”今日、ほとんどのアメリカ人は、低レベルのダイオキシンにしか曝露していない”とEPA当局は述べた。
しかし、政策提言団体健康環境正義センターの科学部長ステファン・レスターは、新たな報告書の中のデータは、”アメリカ人の食物中のダイオキシンへの平均バックグラウンド曝露は、EPAの新たな参照用量に非常に近いか、あるいは、それ以上であることを示している”と述べた。
テキサス大学の環境健康教授シェクターは、EPAのプレスリリースの中での一般的に人々にはリスクを及ぼさないとする声明は誤解を与えると述べた。
”私は、生涯にわたる健康リスクについての声明に関して困惑している。述べられている通り、平均的な人々については正しいように見えるが、我々の感受性と曝露の時期は変化するし、ある場合にはもっと高い曝露がある。
なぜ、このような場合のことについても述べないのか?”と彼は言った。
赤ちゃんと胎児に加えて、エイズ患者と臓器移植患者は、免疫抑制効果のためにダイオキシンからもっと多くのリスクを受けるかもしれないと彼は述べた。
国立環境健康科学研究所のディレクター、リンダ・バーンバウムは金曜日に彼女はまだこの報告書を読んでいないと言った。
”そろそろ頃合である”と報告書の発表を知った後にメールで彼女は述べた。そして、”食物中のレベルは過去よりもはるかに低くなっている”と付け加えた。バーンバウムはもとEPAであり、ダイオキシンに関して主導的な専門家である。
ダイオキシン類は家庭のゴミ焼却からも大気に放出される。
この化合物は脂質組織に蓄積するので、肉、乳製品、魚類のあるものは多くの人々にとって主要な曝露経路である。
主要な曝露経路のいくつかには、ダウケミカル、自治体廃棄物焼却炉、そして家庭の裏庭でのゴミ焼却が含まれる。ダイオキシン類は、パイプやその他の材料として使われるポリ塩化ビニール(塩ビ)をつくるために使用される化学物質の製造過程でも放出される。
ダイオキシンは、ppt オーダーという極めて低用量で影響を及ぼすことを示す動物実験に基づき、人工の化学物質の中で最も毒性が高いと言われている。TCDDとして知られるあるダイオキシン化合物は、エージェント・オレンジ中で使用されており、米軍によってベトナム戦争中に東南アジアで広く枯葉剤として散布された。
EPAは金曜日に、発がん性の証拠を分析したダイオキシン報告書の残り半分を可能な限り速やかに発表するつもりであると述べた。