・アルキルフェノール類
環境庁は1998年の夏に、「水環境中の内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)実態概況調査」を行い、12月に結果を発表しました。
調査の結果、4-t-ブチルフェノールやノニルフェノール・4-t-オクチルフェノールは多くの地点から検出されています。
ノニルフェノールは調査の結果、河川中から73%の地点で、海域では88%、湖沼80%、地下水88%で検出されています。
ノニルフェノールの用途は、界面活性剤やエチルセルロースの安定剤、油溶性フェノール樹脂原料、殺虫剤、殺菌剤、防カビ剤に使われ、それから合成した界面活性剤などは洗剤や油性ワニス、ゴム加硫促進剤、石油製品の酸化防止腐食防止剤など広く使われています。
工業用洗剤あるいは強力洗剤として使われているアルキルフェノールエトキシレートの代謝物は、一般にもとの化合物より毒性が強いといわれています。
アルキルフェノールエトキシレートの致死濃度はほぼ1.5 mg/?以上ですが、その分解産物のノニルフェノールの致死濃度は0.1 mg/?程度になります。
アルキルフェノール類がエストロゲン様物質であることが1930年代から知られていましたが、これらの影響の意味を最近の研究が明らかにしています。
1μM(220μg/?)という低濃度のノニルフェノール、あるいは0.1μM(20μg/?)の低濃度のオクチルフェノールが、培養した人間乳ガン細胞の増殖に影響を与えます。
エストロゲン的な影響は、ニジマスの肝臓の細胞やニワトリの胚の繊維芽細胞、マウスのエストロゲン受容器でも見られています。
被曝を避けるのは困難ですが、できるだけ強力洗浄剤などは使わないで、プラスチックや燃料などとの接触はさけた方が無難です。
ベンツピレン
ベンツピレンなどの多環式芳香族化合物は木や紙など多くの物質を燃やすと発生します。
自動車の排気ガスや石油や石炭を燃やすときも発生します。
また、炭を焼くときに副製品としてできる木酢液の中にもあります。
木酢液は天然の木からできたから安心して使えるという誤解が広まっています。
時には健康のために飲むという人もあります。
化学物質による癌は古くから注目されていました。
19世紀にはイギリスのポットが煤(すす)払いの従事者に陰嚢癌が多発することを知り、その原因は陰嚢に付着した煤であると考えました。
その後、コールタールを使う人やアスファルト舗装に従事する人などに皮膚癌が多く見られるようになってきました。
このため、コールタールにより癌ができるのではないかとして、動物実験が始まりました。
はじめは成功しなかったのですが、日本の山極と市川が1915年にウサギの耳にコールタールを塗り、皮膚癌を作り出しました。
コールタール中の発癌物質の主なものはベンツピレンであることが後にわかりました。
ベンツピレン慢性被曝により、人間では皮膚炎や日光過敏症、目の刺激、白内障を起こすことが知られています。
動物実験では血液や肝臓に障害を与え、皮膚からの吸収によって免疫系に影響が出ることが分かっています。
人間では生殖や発生への影響はわかっていませんが、動物では妊娠や受精率の低下が知られています。
子どもの数の減少や体重の減少などの発生への影響も報告されています。
ベンツピレンや燃焼によって発生する多環式芳香族化合物の一部はダイオキシンの受容体に結合することが知られています。
強弱はあってもダイオキシンと同じような働きをすると考えられます。
ベンツピレンなどを大量に発生する野焼きや野焼き同然の家庭でのゴミ焼却は再考すべきです。
また、法でも禁止されています。
ホルモンかく乱物質の研究は始まったばかりで、そのあらましが把握できるまでにはまだ時間を要します。
runより:いかがだったでしょうか?
voc指定されている物質が多い事が分かりますね。
化学物質過敏症が内分泌を狂わされると言われるのが間違いではないと思います。