ホルモンかく乱物質:疑われている物質3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・フタル酸
 
 フタル酸は塩化ビニルの可塑剤として使われ、柔らかい塩化ビニルでは10-40%入っているといわれています。
 
 建設省は昨年河川水中の環境ホルモンを調べましたが、多くの河川からフタル酸ジ-2-エチルヘキシルが検出されています。
 環境庁の『化学物質と環境』(1997年版)によると、水質で11地点中2カ所で、底質で11地点6地点で、魚類で9地点中4地点で検出されています。

この他にフタル酸ジブチルやフタル酸ジオクチルなども水系で検出されています。
 フタル酸類は大気中でも調査6地点中5地点で検出されています。
 
 動物実験ではフタル酸投与により、精子形成が阻害されることが知られています
 
 また、フタル酸の種類によっては、発癌性があることが知られています。
 
 フタル酸類は脂肪に溶けやすく、バターやマーガリン・チーズ中に濃縮する傾向があります。

体脂肪にも蓄積すると言われています。
 
 数種のフタル酸、特にDEHPは精巣毒です。

この影響は、精巣の亜鉛がなくなることによるもので、精巣の胚細胞の死と崩壊を招くと考えられています (Amdur et al., 1991)。
 
 高レベルのフタル酸類への職業被曝は流産や妊娠時の併発症を招くといわれています(IEH, 1995)。
 
 妊娠中あるいは誕生後の早い時期に、低レベルのフタル酸エステルの一種BBPに被曝すると、精子生産の低下と精巣の大きさの減少が起こります (Sharpe et al., 1995)。

実験では0.126-0.370 mg/kg/日を投与しましたが、この被曝レベルは人間の推定被曝レベルに近いとされています。
 
 英国農業水産食料省は種々の製品のフタル酸含量を分析しました。

チップスやチョコレート・チーズ中に1 kgあたり数10 mgのフタル酸を検出しました。

乳製品の最高レベルはソフトチーズの114 mg/kgでした。
 
 フタル酸、特にDBPとDEHPは紙と板で包装されたケーキやヘット・菓子で検出されています。

DBPは顆粒状グレービー(62 mg/kg)や野菜バーガーミックス (10 mg/kg)・植物油 (8.4 mg/kg)・チョコレートでつつんだケーキ (5.8 mg/kg)・ソーセージ (4.4 mg/kg)から検出されました。

最も高い濃度のDEHPはクッキーで 11 mg/kg、植物油で 11 mg/kgでした(MAFF, 1995)。
 
 乳児用ミルクも調べられています。

最も高濃度の全フタル酸は10.2 mg/kgで、BBPは0.25 mg/kgでした。

新生児で平均0.13 mg/kg、6カ月で0.10 mg/kgを摂取すると見積もられています。 (MAFF, 1996b)。
 最も汚染された乳児用ミルクでは、エストロゲン作用のある2つのフタル酸(BBP, DBP)濃度が高く、推定では合計0.023 mg/kg/日の摂取量となります。

これらの取り込み量は、ラットの精子数減少が起こった量の1/4に達します。

人間の安全レベルは通常動物で害を及ぼすことが分かった1/100倍以下とされています。4倍ではありません。

これらの汚染レベルは非常に高いことは明らかです。
 
 フタル酸は肉や魚、卵、ミルク、乳製品等の全ての食品から検出されました。

通常の成人の取り込む量は0.8 mg/人/日 (0.013 mg/kg/日) で、フタル酸を多く含む製品を摂取する人で1.6 mg/人/日 (0.027 mg/kg/日)となります。

これらの推定被曝量は乳児より低いが、影響の全容が把握されていないので、懸念を表している人々もいます。